希代の勝負師・森保一監督「超攻撃布陣」の意図 選手も驚き、ぶっつけ本番の3バックがズバリ

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「欧州がアジアをなめているところがあるので『ふざけんな』と思ってましたし、オーストラリアも応援してました。僕がフライブルクでプレーしている時も『ドイツは余裕だね』みたいな発言を(チームメートに)された。今度、言い返してやろうと思います」と殊勲の堂安は反骨心を露にした。森保監督は今季ドイツ・ブンデスリーガ1部で目下、2位につけているクラブの主軸として活躍する彼の決定力を信じていたのだろう。

それは、英プレミアリーグで実績を積み上げる三笘、新天地のフランス1部・モナコで苦しみながらも過去に欧州チャンピオンズリーグ(CL)でゴールを奪ったことのある南野にしても同じ。「選手個々の欧州での経験値」が格段に上がったからこそ、指揮官は彼らを信じて超攻撃的な形にチャレンジできた。

強気の姿勢が最終的にサンフレッチェ広島時代の秘蔵っ子・浅野拓磨の逆転弾につながったのだから、理想的なシナリオとしか言いようがない。ドイツを敵に回しても恐れを知らない森保采配が歴史的大金星の原動力になったのは、紛れもない事実である。

2018年7月の森保ジャパン発足からの流れを振り返っても、指揮官がここまで大胆不敵なマネージメントをしたのは初めてと言っていい。チーム発足直後は2018年ロシアW杯の主力だった吉田麻也(シャルケ)、長友、酒井らを固定。最前線も大迫勇也(神戸)を長い間、絶対的1トップと位置づけ、大迫依存症から脱することができなかった。

1年前から加速した若手抜擢

だが、2021年9月から始まった最終予選序盤戦で3戦2敗という崖っぷちに立たされたあたりから、若手抜擢が加速していく。田中や三笘が救世主となり、日本は7大会連続でW杯切符を獲得。そして、この大会も大迫や原口元気(ウニオン・ベルリン)という前回16強戦士を外して挑む決断を下した。

もしかすると、最終予選の苦戦を経て、「ここまで来たら失うものは何もない」といった、いい意味での覚悟が指揮官の中で固まったのかもしれない。人間は追い込まれると変わると言われるが、森保監督が「ドーハの悲劇」を克服して「ドーハの奇跡」を起こせたのも、マインドの変化と徹底した分析・対策・ゲームプランニングによるところが大きいのだろう。

W杯4回制覇の強豪を撃破し、勢いに乗った日本。27日のコスタリカ戦に勝てば、早くもグループリーグ突破が決まる可能性が出てきた。ただ、ベスト8という「新たな景色」を見るための挑戦はここからが本番。中3日の連戦はハードだが、思い切ったスタメン入替など指揮官の大胆な選手起用がまた見られるはず。この調子で我々をあっと言わせる斬新な戦いで、ぜひとも大目標をクリアしてほしいものである。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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