年末の帰省で確認を、認知症「実家の変化」リスト 遠距離でも適切なケアを進める関わり方のコツ

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親にかかりつけ医がいれば、診療時に付き添って、診察に同席することもお勧めしたいことの1つ。医師の顔を見て、「いつもお世話になっています、息子(娘)です」とあいさつしておくだけでも「顔の見える関係性」が生まれます。それは本人はもちろん、子どもや医師にとっても、安心感につながると思います。

顔が見える関係が大事(撮影:向日葵クリニック)

離れた場所に住んでいる場合、自分たちができること、できないことを明確にするのも大切です。あわせて考えたいのが、自分が動けないならどうするか。「自分が動けない」という覚悟を持って、誰かに頼む手はずを整えておくのも、立派な支え方の1つ。「こういうことは協力したい」という姿勢を周囲に対して明確にすることも、1つの関わり方です。

決断できないのが一番困る

私たちが困るのは、例えば家で過ごすか、施設で過ごすかといった大きな判断をする際、「どうしたいですか?」と聞いたときに、「どうしたらいいですか?」と返してくる人。もちろん家族の迷いや疑問はできる限り解決できるようにサポートしますが、大事な決断は本人や家族がすることであり、私たちのように在宅ケアをサポートする側が判断することはできません。

基本的には信頼して任せてくださっても、状況を把握しようと努め、いざというときにはきちんと関わって意思決定をする。こうした関わり方ができる家族は、距離は関係なく、ケアがスムーズに進むことが多いように感じます。

ここまで在宅ケアの話をしてきましたが、もちろん家で過ごすことが最良の選択というわけではありません。個々の状況や症状などによっては、施設や病院で過ごすほうが良い場合もあります。とくに1人暮らしの場合は、本人が在宅ケアを希望していても、最終的には施設に入る選択をするケースが少なくありません。家族が心配し、「このまま家に置いておけない」となることもあれば、本人が「家族に心配をかけてしまうから施設に入ろう」と考えることもあります。

終末期に入った段階で、1人暮らしの方が在宅ケアを選択するのは、本人も家族も、それなりの覚悟が必要になります。

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