あなたが万年不合格に陥るたった1つのワケ 試験勉強に「向き不向き」なんてものはない

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わかりやすい例を挙げましょう。ご質問者様が「趣味」で料理教室に通っているとします。今週はスパゲティ、来週はおすし、再来週はラーメン。毎週、それはそれは楽しいでしょう。「○○さんのハンバーグ、形きれーい、すごーい」的な美辞麗句も飛び交い、さぞ満足のいく時間が流れるでしょう。

しかし当たり前ですが、料理教室に通っていても、イタリアンのシェフにも、すし職人にも、ラーメン屋にもなれません。アルデンテを突きつめ、シャリの大きさをグラム単位でコントロールし、いつも一定のスープを作ることができて初めて、「プロ」の道が開けるのですから。

一見突拍子もない例ですが、実はここに試験勉強の神髄があるのです。「趣味」の場合、いろいろなことに浅く広く手を出すことで、自らの好奇心や知識欲を充足していくことになりますし、それがそもそもの目的ですから、まったく問題ありません。

もう情報収集はたくさんです。捨ててください

しかし、司法書士をはじめとする難関資格試験は、「プロ」を登用するための試験。本試験の段階では、一定の分野について「プロ」並みである必要があります。「趣味」でいろいろなものに手を出してはいけないのです。

私は、受験生時代や今の自分のビジネスを始めてから、さまざまな受験生とお会いしてきました。その中で、合格までに長期間かかってしまう受験生に共通するのは、「勉強時間の不足」ではなく「勉強の方向性の誤り」、より具体的には「勉強する対象の誤り」がほとんどであると気づかされました。

「この予備校の○○先生は~で、あの予備校の○○先生は~で……」

「あそこの模試持ってる? 見せて!」

「その教授はこう言ってて、この教授はこう言ってて……」

これらの発言、聞き覚えがありませんか? こういった方向でアンテナを立てて情報収集をしている方は、完全に赤信号。合格まで長期間がかかる人には、こうした「発散」傾向があるのです。予備校の評判や模試、ささいな学説に勉強時間を費やし、本当に集中して覚えるべき基本事項や過去問に時間が割けなくなっている可能性があります。

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