アメリカ株はひと休み後、結局再上昇しそうだ 今の市場の動きは「はしゃぎすぎ」ではない

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アメリカの株価は「はしゃぎすぎ」だろうか(写真:ブルームバーグ)

前回のコラム「アメリカ株が波乱の中でも年内は上昇と読む理由」(11月7日配信)以降、このところの日米など主要国の株価は、おおむね上昇基調を継続している。

その背景は、アメリカで株価が上昇し、それがほかの先進国においても株価の支援材料となったことだろう。アメリカ株上昇の材料として最近取り上げられたのは「中間選挙」と「インフレ率の低下」だ。

アメリカの「2つの材料」が株価を押し上げた

まず中間選挙については、前回も簡単に触れたが、事前には、少なくとも下院は共和党が多数となり、民主党の大統領府との「ねじれ」が生じる、との観測が優勢だった。

「ねじれ」は、政権が推進しようとする法案が議会で通りにくくなることを意味する。ただ、上院は選挙前から両党が50議席ずつを占めているという薄氷を踏むような状態で、与党・民主党から1人でも「造反者」が出ることで法案が通らなかったこともあった。そのため、「選挙前と選挙後で大きな変わりはなく、株価にとって悪材料ではないだろう」と解説した。

しかし実際の同国株式市場は、「悪材料ではない」どころか、「好材料だ」との見解に傾いた。これは、民主党が増税など株式市場の逆風になりそうな政策を打ち出しても、それが議会で可決されにくいからだ、との解釈によるものだとされている。

もう1つは、主要な物価指数で示された、インフレの改善だ。とくに市場が大きく動いたのは10日のCPI(消費者物価指数)の発表だった。10月分のCPI全体の上昇率は前年同月比7.7%と、9月の同8.2%から低下し、市場の事前予想である同8.0%をも下回った。コアCPI(食品とエネルギーを除いたもの)の前年同月比の上昇率も、9月の6.6%から10月は6.3%となっている。

10日のNY(ニューヨーク)ダウ工業株30種平均は、前日比1201ドル(3.7%)もの上昇を示した。大きく動いたのは株価だけではなかった。長期金利(10年国債利回り)は4%の大台を割れ、その後も4%を奪回することなく推移している。

また、ドルの対円相場も大きく下振れし、CPIの発表前は1ドル=146~147円辺りに位置していたものが、CPI発表直後にいったん140円に迫る動きを示したあと、ついに130円台に入った。その後は140円を挟んだ上下動となっている。

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