アメリカ株はひと休み後、結局再上昇しそうだ 今の市場の動きは「はしゃぎすぎ」ではない

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こうした物価指標の落ち着きは、15日発表のPPI(生産者物価指数)でも示された。PPIの前年同月比の上昇率は、先月発表された9月分が8.5%から8.4%に修正されたうえ、新たに公表された10月分は8.0%まで低下した(市場の事前予想は8.3%)。

こうした選挙前の株式市場の期待や、CPIに対する(株式市場だけではなく)債券・為替を含めての反応は「はしゃぎすぎなのでは」との感想を持つ向きもあろう。

そうした見解は、まったく的外れとはいえまい。例えば中間選挙については、「株式市場にとって都合が悪い政策ばかりが通らなくなる」という解釈はあまりにも一方的だ。また物価指標についても、「まだこの先数カ月分のデータまで見て判断すべきだ」というのは妥当な考え方だし、今回のCPIなどの数値だけで、連銀が利上げの方針を全面的に見直すとも想像しがたい。

しかし、ここ2週間ほどの動きだけから「はしゃぎすぎだ」と論じるべきではないと考える。当コラムで何度も述べてきたことの繰り返しとなり恐縮だが、やはり10月半ば辺りまでのアメリカの株式市場や長期債券市場、さらに含めれば為替相場は、「インフレ懸念→金利上昇懸念」を過度に取り上げて、「株安・債券価格安(利回り上昇)・ドル高」に走りすぎていた。

そうした懸念の行きすぎは、以前の複数の当コラムを参照していただければ幸いだが、数値としては、アメリカの個人投資家や機関投資家の「歴史的な悲観」を推し量る諸データに示されていた。ここ2週間ほどの市場の動きは、その「歴史的な悲観」から「正常状態」への回帰にすぎない、という、やや長期的な視点でとらえるべきだろう。

ただし市場は「ひと休み」「足踏み」の様相も

こうした「正常状態」への回帰は、その前のすさまじい悲観からの脱却過程なので、「もう終わり」ということはなく、例えば年内いっぱいは続くものと予想している。ただ、先週の動きに話を絞ると、アメリカだけではなく主要国の株価は「ややひと休み」といった様相もまとっている。

一時的な市場の波乱としては、例えばポーランドにミサイルが着弾し、「このミサイルはロシアが発射したものだ」との推察が当初は唱えられたため、地政学的なリスクの高まりが一時は懸念された。また、暗号資産交換業大手のFTXトレーディングが経営破綻し、暗号通貨全般に価格下落が広がったことも、投資家心理に影を落とした面もあっただろう。

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