短期不安定でも「日米の株価は年末高」と読む理由 日本株は日銀短観から「明るい兆し」が見える
9月末まで下落基調にあった主要国の株価は、10月初めからいきなり上に跳んだ。この上昇は、それまで投資家心理が悲観に振れすぎていたため、その反動が生じた、と解釈する。きっかけも材料も、何もなかったのだろう。
「いや、そんなことはない。3日に発表されたアメリカの9月のISM製造業指数や4日公表の8月の同国の求人数が、想定より弱かったため、インフレ懸念や金利上昇懸念が後退したからだ」との声がある。
投資家心理が極めて不安定な局面
しかし日本株が急上昇した起点は、それらの経済指標の発表前の、週初3日の途中だった。そのとき、ほぼ同時に、アメリカの主要な株価指数の先物市況や時間外のアメリカ長期国債相場も価格上昇(債券利回りは低下)が始まっており、経済データが相場好転のきっかけになったわけではない。
単に売られすぎから正常状態への回帰が、何の材料もなく始まったあと、たまたまその相場の方向性に沿った経済データがあとから明らかになった、というだけだ。
その後、先週末の7日にかけてはアメリカの株価がやや崩れた。その理由は、7日発表の同国の9月分の雇用統計の内容が堅調だったため、金利上昇懸念が再燃した、との指摘を聞く。しかしこれも、週初からの株価上振れが急だったため、その反動が生じたにすぎないと考える。
投資家心理は、内外どの国でも、個人投資家でも機関投資家でも、極めて不安定だろう。ここ数週間、機関投資家の多くが緊急の運用会議を開いたと聞いた。会議を開いても市場の先行きが予想できるわけはないが、こうした機関投資家のドタバタは、「機関投資家が自身の今後の市況観や運用方針を明確に見出しにくくなった」という点だけを明確に示している。
すると、今後の世界市場は、方向感を失った投資家が多くなっているため、ちょっとした好材料で大きく上昇したり、ちょっとした悪材料で大きく下落したり、何の材料もないのに突然上下に動いたり、材料が指し示す方向性とは逆に振れたりするということが、短期的には何度も何度も繰り返されるだろう。
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