短期不安定でも「日米の株価は年末高」と読む理由 日本株は日銀短観から「明るい兆し」が見える

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さまざまなセミナーなどで「馬渕さんは年末に向けて日米などの株価が上昇すると予想しているが、いったいいつ、どういったきっかけがあって、上昇基調を鮮明にするのですか」とよく尋ねられる。しかし、そうしたきっかけはないか、少なくとも事前にはきっかけなどわからないだろう。今と年末の株価を比べると、年末のほうがしっかりと高いと予想しているだけで、その間の株価の経路はわからない。

以上を踏まえると、短期的な売買で投資収益を上げようというやり方は、まぐれで大儲けできることはありうるだろう。しかしその一方で、市場がどんなタイミングで上に跳ぶか下に跳ぶかはわからないのだから、慌てて売買して損失を膨らませていくことも、いくらでもありそうだ。「何がきっかけで?」などと考えても無駄なので、考えないほうがいいと思う。

長期的な観点から、例えば筆者が述べる「今と年末の株価を比べると、年末のほうがしっかりと高い」という見通しに同意するのであれば、今、株式などのリスク資産を保有し、年末まで何もしないで待っていればよい。もちろん、筆者の見通しとは異なる見解を抱き、まったく違う投資方針を策定することも、読者の方々の自由だ。

「いや、そんなことはない。自分は短期の市場変動がすべて見通せる自信がある」「短期の市況変動が予想できる専門家が筆者のほかにいるだろうから、その専門家の言うとおりに売買したい」などともくろむのも、投資家の方々が好きにすればよい。

投資は自己責任をとる限り(売買の結果生じた投資損益を、黙って自分で引き受けるのであれば)、どのような投資を行うのも自由だ。筆者が「ああしたほうがいい、こうしたほうがいい」と言っているのは、いらぬお節介だ。

長期的にはジワジワと投資環境が好転しつつある

さて、今後の市場展望に話を戻すと、短期的な市場動向は不安定だろうが、中長期的に株価にとっての投資環境の好転は二進一退の形でジワジワと進んでいる。

その好転の主なものは、アメリカにおける、過度のインフレ懸念とそれがもたらしている過度な金利上昇懸念の剥落であるが、それについては質疑応答の形式で、前回のコラム「米国株はどうなる?「重要な7つの質問」に答える」で解説した。

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