壮大な「単なる買い戻し相場」が来るかもしれない 「経済は不振=株価は上昇しない」とは限らない
主要国の株価は8月半ばから調整気味だったが、ようやく先週の半ば、9月7日くらいから反転上昇の色合いが濃くなったようだ。
この株価の戻りについて、諸報道などでは懐疑的な見解を多く見る。そうした主張の多くは、「実体経済などは冴えない展開となっており、足元の株価上昇は単なる買い戻しにすぎない」というものだ。その主張自体は、まったくそのとおりだと思う。
「実体経済は冴えない=株価も上がらない」は本当?
主要国の経済指標を見ると、例えばアメリカでは小売売上高など堅調なものもあるが、住宅関連統計などでは不振なものも数多く見られ、決して「景気拡大が加速している」とはいえない。また、物価指標も同国と並んで欧州でも前年比の数値は高く、インフレ抑制のための金融引き締めも、日本以外のほぼすべての主要国で進められている。さらに一段と引き締めが続きそうだ。
企業収益は、アナリスト予想の平均値でみれば、日米欧で増益基調が予想されてはいるが、円安による円建て利益の水膨れがあるかもしれない日本は別として、欧米では全産業で10%に満たないような増益見通しとなっている。
このように、実体経済などは冴えないとの見解は正しいと考えられる。ただ、「実態面がそれほどよくもないのに株価が上がるのはおかしい」「これは単なる買い戻しだから株価上昇は長くは続かない」という見通しには同意しない。
そもそも足元の株価が経済実態を反映して、すでにかなりの高値に達しているのなら、そこから一段大きな景気の改善がなければ株価は勢いを失って反落するだろう。
ところが逆にアメリカ株は、6月の安値まで「インフレ懸念」「金利上昇懸念」「景気悪化懸念」という「懸念の詰め合わせセット」によって、投資家心理が過度の悲観に振れていた。過去の当コラムで何度か触れたので詳しくは繰り返さないが、種々のデータからはアメリカの個人投資家や機関投資家が6月の安値などのあたりでは歴史的な悲観にとらわれていたことが示されている。
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