個人投資家は「8月の米株急落」でどう動くべきか FRBも投資家も今は「さあ、どうしよう?」状態

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パウエル議長の講演には、どんな意図が込められていたのだろうか(写真:ブルームバーグ)

結論から先に言えば、日米など主要国の株価は今年前半の底入れから年内は回復軌道にあると見込んでおり、このことはこれまでも当コラムで述べてきた。さらに長期的にも世界的な株価上昇を予想するものの、その中で「来年はいったん大きめの株価下振れがありそうだ」ということも解説してきた。以上のような一連の見解は、これまでと変わっていない。

そうした大枠の見解については、過去のコラムをご参照いただくとして、8月26日のアメリカの株価下落には驚いた方も多かったのではないだろうか。

ワイオミング州・ジャクソンホール会合(カンザス連銀主催のシンポジウム)におけるジェローム・パウエルFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)議長の講演を受けて、NY(ニューヨーク)ダウは前日比で1008ドルも下落した。まるでジャクソンホールならぬ、マイケル・ジャクソンの「スリラー」のような相場付きだった。

市場はまたまたパウエル講演に「過剰反応」した

ひとことで言えば、前週末のアメリカ株式市場の波乱は過剰反応だったと考える。パウエル議長の趣旨は「景気よりインフレ退治を優先する」だったが、「景気に痛みを与えようとも、インフレ抑制のために利上げを続ける」という方針が語られたのは、もちろん今回が初めてではない。今さら株式市場が驚愕したように、大幅な株価下落という対応を見せたのは、騒ぎすぎだったと感じられる。

一方で議長は「金融政策がさらに引き締まるにつれて、ある時点で利上げペースを緩めることが適切となる可能性がある」とも語った。これと同様の文言は、8月17日に公表された、7月開催のFOMC(連邦公開市場委員会)議事要旨にも記されていた。

このとき、アメリカの株価指数はザラ場安値からやや持ち直した。それは、議事要旨がハト派的な内容に埋め尽くされていたわけではなく、ハトとタカの双方が記述されていたものの、市場が「利上げペースを緩める」とのハトを議事要旨から掘り出して、強気材料として解釈したからだ。

ところが先週末は、やはりパウエル議長の講演内容にハトとタカが共存していたものの、市場がハトを無視してタカばかり取り上げ、大騒ぎした感が強い。連銀の基本姿勢が変わったわけではなく、金融政策について同じようなことを伝え続けているのに、局面によって市場が勝手に解釈を変えているように考える。

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