個人投資家は「8月の米株急落」でどう動くべきか FRBも投資家も今は「さあ、どうしよう?」状態

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このように、連銀自身も先行きの政策金利がどうなるかはわからないという事態だと考える。とすれば、市場が「ハトだ」「いやタカだ」と勝手に決めつけて暴走し、FOMCの結果を見て勝手に驚いてしまうより、どちらとも決めつけてもらわないほうが好ましいのだろう。

こうした文脈の中でパウエル議長のジャクソンホール会合での講演をとらえると、最近の市場が勝手にハトに傾いていたため、それを牽制しようとした、という意図だったといえる。もし市場がタカ一辺倒となれば、連銀は逆にハト方向への揺り戻しを図るだろう。

投資家も「さあ、どうしよう?」状態

アメリカの株式市場も債券市場も腰が定まっていない感があり、それが連銀の金融政策をめぐっての思惑などに伴って、市況の振幅を不安定に大きくしていると解釈する。

6月あたりまでのアメリカの証券市場は「過度の懸念」に包まれていたが、その「過度」が取れ始めた、と当コラムでは解説してきた。実際の投資家心理やポジションを数値で見ていくと、8月1日付の「過度の不安が薄らいだアメリカ市場の『次の懸念』」で、全米個人投資家協会(The American Association of Individual Investors)による個人投資家向けアンケート調査を紹介した。

詳細は同コラムをご参照いただきたいが、同調査に基づくブルベア指数は、4月にマイナス42.9%、6月にマイナス41.1%となり、リーマンショックから間もない2009年3月(マイナス51.4%)以来の歴史的な弱気を示した。

つまり、個人投資家は6月まで過度の悲観にあったわけだが、このブルベア指数は8月17日にはマイナス3.8%まで浮上し、個人投資家の心理がやや改善して、株式に資金を振り向け始めたことがうかがえる。

それでもまだマイナスの領域であり、直近の24日時点ではマイナス14.7%にやや悪化した。ここからは、個人投資家の心理や株式への資金配分が4~6月に陰の極に達し、そこから株式投資に前向きになりつつあるが、少し株を買ってみたところで、「さあ、これからどうしよう?」と気迷いになっていると考えられる。

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