個人投資家は「8月の米株急落」でどう動くべきか FRBも投資家も今は「さあ、どうしよう?」状態

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ただし、パウエル議長は、タカとしての側面を強調する意図を持って講演したとは考えられる。その点では、株価の下げ幅の大きさ度合いはともかく、株価が下落し、短期金利先物がより高めの水準への利上げの可能性を織り込んだのは、狙いどおりだったのだろう。

9月以降の利上げは経済成長を抑え込むことに

とはいうものの、連銀がタカ派的な政策への傾斜を、確信を持って堅持している、ということでもあるまい。今後の金融政策の舵取りは、これまでと比べ、かなり難しい。景気を温めも冷やしもしない金利水準を「中立金利」と呼び、FOMC参加メンバーの多くは中立金利が2.5%であろうと推察している。

今年初め、政策金利は0.0~0.25%の間で誘導されており、それが「ゼロ金利政策」だと称されていた。そこから利上げしていっても金融緩和の縮小であって、2.5%を下回っている限り、依然として金融引き締めではなかったといえる。つまり、景気に与える影響をあまり意識せずに、遠慮なく利上げができたわけだ。

しかし、7月のFOMCにおける0.75%利上げで、政策金利の誘導目標は2.25~2.5%に達し、中立金利に下から接触した。そのため、9月以降の利上げは、ついに経済成長を抑え込む効果を生じ「始める」と考えられる。

その点で、これまでの利上げは景気を傷めるわけではなく、「すぐにも景気後退だ」「景気後退になるのだから連銀は近いうちに利下げに転じる」といった観測は、あまりにも時期尚早だったといえる。筆者は、連銀としては、中立金利までの利上げを達成し、今後「新世界」に突入するにあたって、「さて、これからどうしよう?」と思案している、といったところだと推察する。

また、金融政策の環境も不透明だ。今年前半は原油などの国際商品市況が高騰し、物価指数の前年比も上伸を続けて、インフレの加速が鮮明だった。ところが足元では、多くの国際商品市況の上昇がある程度沈静化したうえ、例えばアメリカの消費者物価指数前年比は6月の9.1%から7月は8.5%に鈍化した。

もちろん、まだ国際商品市況の水準は高く、物価指数の前年比も低下し始めたとはいえ高水準で、連銀はこの先も利上げを続けそうだ。それでも、インフレの動向を踏まえ、利上げ速度をどの程度とするか、景気との両にらみで政策の舵取りは難しくなっている。

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