過度の不安が薄らいだアメリカ市場の「次の懸念」 当面、株価はそれなりに戻るかもしれない
少し前まで、アメリカの株式市場は、ずるずるだらだらとした「悲観の膨張」に支配されていたと考える。
日本株は日経平均株価で測れば、3月9日に安値2万4717円をつけ、その後は安値を更新せずに底固めの様相だった。
しかしそれに比べると、アメリカ株はNY(ニューヨーク)ダウ工業株30種平均でいえば、3月の安値からいったんは持ち直したものの、5月にさらに深い谷底へ。また持ち直しては6月にさらに深い底を形成して、同月17日に2万9888ドルをつけた。「今度こそ上昇だ」との投資家の期待が裏切られ続けることとなった。
アメリカは直前まで「超悲観状態」だった
投資家がパニックになって株式を投げ売りするような、「〇〇危機」と呼ばれるほどのショッキングな悪材料はなかったが、こうしただらだらとした株価の下落基調が投資家の買い意欲を損なった。結果として売買が盛り上がらない中、株価はさらなる軟化基調に陥った。
こうした相場つきから、アメリカ市場での投資家心理は悲観ないし慎重さが際立ってしまった。個人投資家の心理を推察するには、全米個人投資家協会(The American Association of Individual Investors)によるアンケート調査の結果が参考になる。
毎週行われている調査では、個人投資家に短期的な株価の見通しがブル(強気、株価上昇)か、中立(株価横ばい)か、ベア(弱気、株価下落)かを、尋ねて集計している。この調査で、ブルという回答が前回答に占める比率からベアの比率を引いたものが「ブルベア指数」と呼ばれている。
同指数は、4月27日にマイナス42.9%、6月20日にマイナス41.1%に達し、4~6月期の個人投資家の悲観度合いの高まりを示した。このマイナス40%を超える悲観は、リーマンショック後の2009年3月に記録したマイナス51.4%に次ぐものだ。
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