過度の不安が薄らいだアメリカ市場の「次の懸念」 当面、株価はそれなりに戻るかもしれない

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また、機関投資家の投資姿勢については、バンク・オブ・アメリカが毎月調査を行っている。直近の7月調査(19日公開)によれば、機関投資家の平均の現金の保有比率は6.1%で、これは2001年10月のITバブル崩壊時以来の高水準とのことだ。ちなみにリーマンショック時の同比率は高くても5%台だったと報じられており、それを上回るものだ。ここから機関投資家の極めて慎重な姿勢がうかがえる。

実態面でとりわけの悪材料がなくても、期待を裏切って株価がだらだらと下げて底入れしなければ、投資家は疑心暗鬼を生じて、「これほど株価が下げ止まらないのは、実態経済や企業収益が悪いに決まっている」との決めつけに陥る。

確かに少し前まで、アナリスト予想の平均値で今年のアメリカ企業の増益が予想されていることに対し、「アナリストは楽観的すぎる、増益になどなるはずがない」との専門家の大合唱が聞こえた。

また、日々現れる材料についても、例えば国際商品市況が上昇すれば「インフレ懸念が台頭して金利が上がり、株価は下落するはずだ」との見解が広がり、逆に国際商品市況が下落すると「商品市況が下落しているのは、景気が悪化していて国際商品への需要が減退しているからだ、株価は下落するはずだ」との主張が大いに唱えられていた。

このように、アメリカの株式市場はなんでも悪く解釈する、あるいは好悪入り混じった材料の悪い部分ばかりを取り上げる「悪いとこどり」には陥っていたといえよう。

「過度の悲観」からようやく「普通」に

だが、最近のアメリカ株は、述べたような「過度の悲観」から、「普通」への回帰が始まりつつあるように見える。足元で株価は戻しているが、それは「悪かった景気や企業収益の実態が大きく好転している」というわけではない。

先週の材料だけを並べてみても、まず佳境の4~6月の企業決算については、もちろんメタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)やインテルのように、内容が悪く株価も素直に下押しした銘柄も多い。

しかし、例えば7月26日に決算発表を行ったマイクロソフトについては、4~6月の増収率・増益率が市場の事前予想を下回ったものの、同社のCFO(最高財務責任者)が先行きについて明るい展望を語ったことを材料として、株価は上昇基調をたどっている。

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