壮大な「単なる買い戻し相場」が来るかもしれない 「経済は不振=株価は上昇しない」とは限らない

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そのようなアメリカ株の調整は、日本株への重しともなった。ただ、日本株の最安値は、日経平均株価などで見ると3月であり、その後は最安値を割り込んでいない。

そうした日米の底値のタイミングの差は、今年に入って世界株が調整色を強め始めたところ、グローバルな投資家は株式投資の「中核」ともいえるアメリカ株を大きく売ることをためらい、日本株などを大いに売り払ったのだと推察する。

そのため、3月までに売り切った日本株には、その後はそれほどは売りはかさまない一方、投資家が手元に残したアメリカ株については、その後も6月までずるずると売りが続いたのだろう。

壮大な「単なる買い戻し」相場が到来する可能性

それはさておき、6月までの株価調整が、ITバブル崩壊後、あるいはリーマンショック時に並ぶような投資家心理の過度の悲観によるものであった(壮大な売られすぎであった)ととらえれば、「景気がそれほどよくもないが悪くもないのに株価ばかりが下がった」ということになる。すると、その「過度」が取れて普通の株式市場に戻るだけでも、実態面の著しい改善がないにもかかわらず、株価は大きく上がると考えられる。

そうした意味で、冒頭のような「足元の株価上昇は単なる買い戻しだ」という見解は、真実を突いているといえる。ただ、今年前半のアメリカ株の下落が「壮大な売られすぎ」だとすれば、これからの株価の上昇は「壮大な単なる買い戻し」になるだろう。

実体経済などに急激な改善がないにもかかわらず、株価がどんどん買い戻されていけば、株価上昇の持続性に懐疑的な向きは首をかしげるはずだ。それでも主要国の株価が上昇を続け、当方が見込んでいるような高値を日米ともに年末あたりに奪回すると、懐疑論を述べていた向きは、いかに実態面から株価上昇が正しいのかを解説することに忙しくなるだろう。

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