「アマゾン配達」現場は"AIの言いなり"で大混乱 大手事業者の買いたたきで加速する「AIの暴走」

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同社はその後、契約で定めた事前告知がないまま突然契約を解除されたとして、同グループに損害賠償を求める訴訟を起こした。同グループからは減額された代金を含む請求額の一部が支払われたという。 

軽貨物業界は、大手事業者の下に2次、3次と下請け企業が重なり、ドライバーは下請けと契約を結んでいる。川上の事業者が、一方的に下請けへの支払いを減額する「買いたたき」も横行しており、中には買いたたかれた分、契約ドライバーへの支払いを減らす下請けもあるという。 

矢作社長は「大手事業者の買いたたきで、しわ寄せを受けるのは立場の弱いドライバー。しかし彼らには時間的、経済的な余裕もなく、声を上げられずにいる」と語った。 

労働問題に詳しい水口洋介弁護士は「重層下請け構造を規制し、大手の優越的地位の濫用から個人事業主を守る必要がある。軽貨物業界が社会のインフラとなった今が、法整備のチャンスだ」と述べた。 

ドライバーは「労働者」として認められるか

大島氏や軽貨物ユニオンのメンバーはシンポジウム後、アマゾンジャパン本社を訪問し、配達単価の引き上げや荷量の適正化などを求める要請書を提出しようとした。事前に担当者へ訪問時間などを伝えていたにも関わらず、受付で警備員に阻まれ、書面の受け取りも拒否されたという。同ユニオンは今後、同社へ書面を郵送するとしている。 

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

高橋氏は「契約ドライバーが実態として労働者であると認められれば、組合に加入して団交を申し入れることが可能になり、経営側も拒否できなくなる」と主張する。実際に、契約ドライバーと事実上の雇用関係にあったとして、運送会社が労働基準監督署から是正勧告を受けたケースもある。 

ただ労働基準法や労働組合法で規定された「労働者」として認められるかどうかは、会社から指揮命令を受けていたかなどの判断基準(労基法と労組法で異なり、労組法の方がハードルが低い)をクリアする必要がある。水口弁護士は「明らかに労働者として認められる人だけでなく『グレーゾーン』の人も含め、ドライバーをおしなべて保護できる仕組みが必要だ」と訴えた。 

(ライター・有馬知子) 

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