「アマゾン配達」現場は"AIの言いなり"で大混乱 大手事業者の買いたたきで加速する「AIの暴走」
軽貨物の配送ドライバーらが加盟する「建交労軽貨物ユニオン」などは11月10日、ドライバーの待遇改善を訴えるシンポジウムを都内で開いた。
シンポには、アマゾンの荷物を運んでいた元ドライバーが登壇して「荷物の積載数や配達エリアをAIで決められるようになった結果、交通安全が守られなくなった」と批判。
ユニオン関係者らはシンポジウム終了後、アマゾンジャパン本社を訪れ待遇改善に関する要望書を渡そうとしたが、「門前払い」に遭い文書の受け取りも拒否されたという。
荷物量、配達エリアを「AIが決める」リスク
配送ドライバーの多くは、個人事業主として運送会社などと業務委託契約を結び、荷物を運んでいる。個人事業主は本来、契約企業の指揮命令を受けずに自己裁量で作業の進め方を決められるはずだが、実態は雇用されたドライバーと同じ仕事をしている、というケースも珍しくない。
アマゾンの荷物を配送するドライバーだった大島二郎さんによると、積み込む荷物の数や、どのエリアを何時まで誰に任せるかを決めていたのは、契約していた企業の社員ですらなくAIだった。積み込み作業が長引くなどして、AIの計画通りには配達が進まないこともしばしばあったが、現場の管理者は元請けの不興を買わないよう、AIの言いなりになっていたという。
大島さんは「人間が常識の範囲内で判断すれば、安全に配達できるはずなのに、AIという制御できないシステムに指示されるためドライバーがやむなく運転を急ぐなどして、交通安全が脅かされるリスクが生まれていた」と語った。