「アマゾン配達」現場は"AIの言いなり"で大混乱 大手事業者の買いたたきで加速する「AIの暴走」

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軽貨物ユニオンの高橋英晴執行委員長は、ドライバーに対して実施したアンケート結果を発表した。それによると回答数132件の25.8%が、1日の平均労働時間を「12時間超」、約半数が勤務日数を「週6日以上」と回答していた。高橋氏は「長時間労働が蔓延している上に、休日も確保できていない実態が明らかになった」と話した。

さらにコロナ禍で職を失った人が、参入障壁の低い配送ドライバーになったことで「仕事の取り合いが生じている」とも指摘。新たにドライバーになった人らが、不慣れな仕事で「1年に2、3回交通事故を起こすケースもある」という。

配送中の転倒や重い荷物の運搬などでケガを負うドライバーも多く、ユニオンに寄せられた相談の中には「ケガで仕事を休んだところ、他のドライバーが穴埋めに入り仕事に戻れなくなった。その上、稼働できなかった時間の損害賠償を請求された」といった内容もあった。

「休んだら戻れる保証がないので、多少のケガでも無理をして働いている人も多い。参入者が増えたので配達単価もどんどん下がっている」(高橋氏)。

登壇者の一人である首藤若菜・立教大教授は「通販の普及でドライバーの人数も相当数に上っており、個人事業主として働く者の保護の在り方を考える必要性が高まっている」と強調。事業者数が増えるほど単価が下落し、減収を補うため長時間労働を迫られるといった悪循環に陥るのを防ぐためにも「標準配送運賃や、乗務時間の上限などのガイドラインを設けるべきだ」と話した。

(写真:弁護士ドットコムニュース)

「重層下請け構造」のしわ寄せはドライバーに

大島さんは、昨年5月ごろから配達個数が激増したが、報酬は1日当たりの定額だったため、契約企業に報酬引き上げを要望した。しかし企業側から「君の話はもっともだが、我々も下請けで上に物は言えない」と回答されたという。 

また楽天グループの配送業務を請け負っていた運送会社トランプ(埼玉県川口市)の矢作和徳社長によると、同社は楽天グループの配送に車両1万9109台を稼働させたが、支払われた代金は、稼働台数より272台分少なかった。

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