まず1つめの理由は、「冷凍変性を防ぐ必要があるから」です。
市販のおせちは1カ所の食品工場で作られることは、あまりありません。多くの場合は、「だて巻き」「昆布巻き」「煮物」など、それぞれ完成品を仕入れて詰め合わせて作られます。
「平気で『お弁当』を買う人が知らない超残念な真実」で述べた「作り方のカラクリ」と同じで、「おせち製造業者」というより「詰め合わせ業者」のような感じです。
そして詰め合わせた状態で「冷蔵」または「冷凍」して販売します。市販のおせちには「冷蔵品」と「冷凍品」があり、「冷凍品」は各家庭で解凍して食べます。
作られ方のパターンはいろいろですが、「冷蔵おせち」であっても、冷凍された食材を解凍して調理することも多くあります。
なぜならば、おせち料理には「ロブスター」「〇〇テリーヌ」「あわび」「牛タン」「ローストビーフ」など、「豪華で高級な食材」が大量に使われるわけです。
そうすると国内だけでは調達できないため、世界各国から輸入してくる必要があります。
「ブラジル」「タイ」「ベトナム」世界中から運ぶ
図の産地を見ていただければおわかりのように、「ブラジル」「タイ」「ベトナム」「メキシコ」「ペルー」「アメリカ」と、世界各国から輸入されてきています。
これらの多くは、「冷凍」の状態でコンテナで運んできます。だから、市販のおせちには「冷凍」という過程が欠かせないわけです。
すると、どうしても「冷凍変性」という問題が出てきます。
「冷凍変性」とは、冷凍することによって、ひからびたり、白く変色したり、油焼けを起こしたり、ドリップが出てしまったりという問題です。さらには「色あせ」も起きます。
「冷凍変性」が起こってしまうと、食感が変わってしまい、てきめんにおいしさが落ちます。
おせちの場合は、後述のように冷凍保存する期間が長いため、業者はこの「冷凍変性」の防止にものすごく神経を使います。
では、これを防ぐためにはどうすればいいかというと、「添加物」の出番です。
よく使われるのが「ソルビット」「ポリリン酸ナトリウム」「トレハロース」「増粘多糖類」「乳化剤」など。これらは「変色防止剤」「酸化防止剤」「乾燥防止剤」の働きをして、複合的に冷凍変性を防いでくれるのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら