――2015年度の授業で新しく取り入れたいことは何ですか?
2つあります。まずひとつめは、小学校の先生にアイデアソンから参加してもらうこと。2つ目は、協働的に学べるようなアプリを作ることです。
これまで作ってきたアプリは個人で学ぶものでした。新年度は、集団で協力しながら学ぶことが学校現場では必須になりますので、それにふさわしいアプリを考えてもらいたいと思っています。みんなでタブレットを持って探検するような、ソーシャルゲーム的な物にして欲しいということです。
どうせやるなら、学校に楽しく学べるゲーム空間を
最終的には、画面の中だけでの話にしたくないんです。プロジェクションマッピングとかARとか、リアルとバーチャル融合できるものを作りたいです。下手な教材会社がなんとか作ったような教育アプリを作っても仕方がない。
今までの授業で作ったアプリは、子どもたちは喜んでいますが、個人的には少し古いタイプのゲームなのかなと思っています。というのも、今ならカメラやGPS機能を使ったアプリもできるはずだと思っているんですね。ネットの中だけで遊ぶのではなく、日常と繋がるものがいいのではないかと思います。
そのアプリのライバルはUSJなどのテーマパークです。学校がテーマパークに勝てる点は、テーマパークは普通は一度行ったらしばらくは行けませんが、学校は子どもたちが毎日通うということです。毎日通って遊びながら学べるゲーム空間を学校に作れたら面白いですよね。
――話はかわりますが、藤川先生は全国の学校で講演されています。今の教育現場の問題は何だとお感じでしょうか。
今一番考えなければならないのは、子どもの貧困です。「子どもの貧困率」という指標があり、平均的な所得の半分以下の家庭が貧困と定義づけられています。あまり知られていないかもしれませんが、日本の貧困率は約16%。OECD平均を上回っていて、先進国30数カ国のうちの10番目くらいの高さです。親が機能していない家がとても多い、という話はいくらでも聞きます。
親が忙しすぎたり、大変な状況に置かれていたりすると、むしろ子どもに携帯やスマホを持たせるんです。親が飛び回っていたら、メールで連絡が取れないと困るからです。貧困の家庭ではスマホがライフラインになっているんですね。
一方で、スマホの普及はここ2年くらいで新たな使い方が拡大しているところで、親はあまり危険性を把握せずに子どもに使わせていることが多い。いろいろなサービスが出てくる中で、昔のガラケーよりはスマホの方が多数の人と繋がりやすくなっていることもあり、新たな問題が発生しています。
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