ネット利用については各家庭で考えるもの、きちんと親が監督すべきだと言われます。その通りなんですが、監督しきれない親が沢山いるということを前提に考える必要があります。よく、情報モラルに関する啓発のイベントに参加するんですが、イベントに来て欲しい人ほど来ないんですね。それは当たり前で、問題を抱えている家庭の親御さんは、生活を支えることにいっぱいいっぱいで来られない。
親が心掛けるべきこと
――世界でも同じ状況があるのですか?
アメリカも貧困率が高いのですが、階層化されていて階層ごとにコミュニティがあります。貧困なら貧困なりに生きていくすべが一定の歴史の中で存在するのではないでしょうか。日本の場合は、最近の変化が急激なので、社会的なケアの仕組みが整っていないんです。
例えば、昔だったら教会や寺などの宗教的な施設がケアの仕組みとして機能していましたが、今はそうしたものも弱くなっています。ケアされるべき対象は増えているにも関わらず、ケアの仕組みが追いついていない。最近ではスクールソーシャルワーカーという制度もできて、児童福祉の立場からケアしようという枠組みは出来つつありますが、まだこれからですね。
――親はスマホをどのように子どもに使わせるべきでしょうか。
スマホを与えるというのは、繁華街の入口に子どもを立たせることと同じです。東京で言えば、新宿・歌舞伎町の入口ですね。子どもを大人の世界の入口に一人で立たせる。そこにいるだけだったら何も起こりませんが、声を掛けられてついていってしまうとか、自ら危ないところに入り込んでしまうという子どもであれば危険が沢山ありますよね。
――子供が当たり前のようにスマホを持つ時代に、家庭ではどのような指導が必要でしょうか。
取り組みができる家庭であれば、一般論としてはルール作りが必要です。それも、単にルールを書くのではなくて、親が何を心配しているかをまず書き出します。それに対する解決策を子どもに考えさせ、提案させることが重要です。
例えば、スマホの使い過ぎが心配ということなら、そういう親の心配を解消するにはどのようなルールが必要か子どもに考えさせる。夜10時以降は使わない、就寝する時は部屋に持ち込まない、そういうことを子どもは提案してくると思います。それでやってみて、問題などがあれば定期的にルールを見直すことも必要です。各家庭で、家族会議のようなことができればいいですね。
(撮影:尾形文繁)
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