私立大学の授業料、なぜ右肩上がりなのか 学費据え置きの国公立大学との差が拡大
有名私立大学の授業料値上げが続いている。東京23区の法・文・経系では、2001年から2014年にかけ約13%上昇、70万円台半ばの水準に達している(小売物価統計調査)。
その理由として、多くの大学は教育の充実や設備の改善を挙げている。実際、早稲田大学は、2014年3月、中野に定員約900名の国際学生寮「WISH」を建設。校舎も次々と建て替えるなど、大型事業が目白押しである。
さらに、建物などのハード面の改善だけではなく、多くの学部で「Tutorial English」という、ネイティブ講師による、教師1人対学生4人の超少人数英語授業を開講。少人数授業の充実、留学制度の拡充などのソフト面でも、改革を進めるための経費が必要になっている。
志願者数の減少が追い打ち
社会が求める「グローバル人材」「コミュニケーション能力の高い学生」を育成するために、従来のような一方通向の講義をするだけの教育ではもう成り立たなくなったのだ。
少子化による志願者数の減少も追い打ちをかける。2014年度一般入学試験の志願者数は、近畿大学が1位。早稲田大学が2位、明治大学は3位、日本大学は4位だったが、いずれの大学もピーク時に比べ減少傾向だ。
少子化や受験生の安全志向が強まって志願校数が減る中で、今後、受験料の大幅な増加は見込めない。さらに、国からの各大学に対する研究や教育などの補助金も、審査の厳格化により減額傾向にあり、私立大学は、学費からの収入に頼るほかなく、値上げに至ってしまうのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら