私立大学の授業料、なぜ右肩上がりなのか 学費据え置きの国公立大学との差が拡大

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一方、国立大学法人の学費は、政府からの補助もあり、文系、理系、医学部を問わず、授業料が53万5800円、入学金を含む初年度納付金も81万7800円に据え置かれたままである。公立大学の学費も私立大学より安い。

国公立大学と私立大学の学費の差が拡大する中、私立大学は、学費を理由に優秀な学生に敬遠される事態に陥ることは避けなければならない。

給付型の奨学金は基準が厳しい

そこで、早稲田大学は「奨学課」という奨学金専門の部署を設けている。学業成績が優秀であるにもかかわらず、家計の事情で進学を断念せざるをえない首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)以外の高等学校出身者を対象にした、「めざせ! 都の西北奨学金」など各種奨学金を拡充している。

ほかにも慶応義塾大学「学問のすゝめ奨学金」、法政大学「開かれた法政21奨学・奨励金」、立教大学「自由の学府奨学金」、青山学院大学「地の塩、世の光奨学金」など、ユニークな奨学金が花盛りだ。

こうした奨学金は、評判が悪い貸与型ではなく、返済不要の給付型だ。しかし、家計基準や成績評価などが厳しく、誰もが恩恵を受けられるわけではない。

だが、情報を得ることでチャンスは広がる。保護者や受験生には自ら情報収集をする姿勢が求められる。

(「週刊東洋経済」2015年2月28日号<23日発売>「価格を読む」を転載)

山内 太地 大学研究家
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