バイトのほうが高収入?これが医師の実態だ

「憧れの職業」の裏側はこんなにも不可思議

大学病院の医局では、バイトのほとんどは医局長から割り振られる。ポストが上がったからといって年収が劇的に上がることはないので、准教授クラスでもバイトをするのは普通だ。年次順に割のいいバイトが割り振られ、医局員同士、時間がバッティングしないように調整し合う。週2コマ(1日分)のアルバイトをこなせば、月30万~40万円程度の収入が得られる。

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一方、一般的に民間病院の給与は「大学病院よりも3倍近く高い」(医師派遣会社の幹部)。中には、本業に集中してもらうために、アルバイトを禁止している病院もある。

民間病院は、経歴や実績によって給与に幅がつくことが多い。一般的には都心の大病院だと給与は低め、地方の基幹・中堅病院だと給与は高めだ。「人手不足に困っている東北の病院では、就職すると馬を一頭くれると聞いた」(30代の勤務医)。地方の中堅病院には医師不足に直面し、特定の診療科を維持できるかどうかギリギリの体制で運営している病院もある。こうした病院に勤めると給与が良い一方、少ない人手で当直をやりくりしなければならないなど、激務となることが多い。

医師の中には、大学病院や民間病院に所属せず、”フリーター”としてバイトだけで稼ぐ者もいる。医局に属していなくても、医師バイトを紹介する民間仲介業者がたくさんいるのだ。

一昔前はフリーの麻酔科医がたくさんいた。数時間の手術1件あたり10万円程度と高額なバイト料、さらに、麻酔科医のスケジュールに合わせた手術日程を組まなければならないことが多く、現場の外科医には不評であったと言われる。

北から南まで全国を飛び回る

医師へのバイト紹介事業を展開するMRTの小川智也・最高執行責任者は「いまでも地方を中心に医師が足りず、医師を紹介して欲しいという病院の要望に応え切れていない」と話す。同社の運営サイトには常時6000に上る医師への求人がある。離島での1週間にわたる診療や北海道の緊急手術の要請など、その内容もさまざまだ。中にはバイトで北から南まで、文字どおり全国を飛び回っている医師もいる。

医師同士でバイトを紹介し合うことも多く、メールのやりとりでバイト先が決まることも珍しくない。紹介会社を通さない場合、時給などの条件は口約束で決まることが多く、「これまで契約書などを交わしたことなどない」(50代の埼玉の医師)。

病院にとっては、24時間365日の医療体制を整えるために非常勤の医師が必要という側面がある。ある意味、バイトは医師の相互扶助でもあるのだ。また大学病院の場合は、もともと外のバイトで高い報酬が得られるということを前提に医師の給与体系ができている側面がある。

常勤として医療の現場を支える医師がいる反面、非常勤として様々な医療機関を転々とする医師もいる。働き方から給与まで十人十色。それが医師の世界なのだ。

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