野宿で死ぬ子も…欧州「難民大量流入」悲惨な現状 難民受け入れ国「優等生」のドイツですら悲鳴
ブリュッセルでは庇護希望者(難民)が路上で段ボール暮らしを強いられ、ドイツ南部ではかつてない数の難民を収容するため、小さな市町村が体育館や講堂を開放。オランダでは今年、生後3カ月の赤ん坊が死亡し、難民キャンプの非人道的環境を理由に政府が訴えられる事態となっている。
ロシアが目の前で戦争を繰り広げる中、ヨーロッパは今年440万人のウクライナ難民を受け入れてきた。これに加え、36万5000人を超える難民がいる。多くはシリアとアフガニスタンから逃れてきた人たちだ。
2015年の難民危機を上回る数
その数は、ヨーロッパ現代史にくっきりと刻まれた2015年の難民危機をも上回る。当時は、中東の紛争を逃れた120万人の難民が押し寄せ、多くがドイツにたどり着いた。当時ドイツの首相だったアンゲラ・メルケル氏が難民の受け入れを促すために使った「私たちならできる」という言葉は有名だ。
しかし、ヨーロッパの今回の対応をめぐっては不快な疑問が持ち上がるようになっている。国によって異なる難民の受け入れ状況や難民に対する不平等な扱いが問題として浮上してきているのだ。気温の低下やロシアによる民間インフラ攻撃の激化により、さらに多くのウクライナ難民の流入が予想されることへの懸念も高まっている。
「第2次世界大戦以来で最大の強制移住に直面しているヨーロッパの冬は厳しいものになる」。ブリュッセルを本拠とするヨーロッパ移民政策研究所のハンネ・ベイレンス所長は「ウクライナでの紛争は長引いており、ウクライナ人の滞在は長期化することになる」と語る。