野宿で死ぬ子も…欧州「難民大量流入」悲惨な現状 難民受け入れ国「優等生」のドイツですら悲鳴
専門家らによると、現在の危機はヨーロッパにおける戦争で生じたものであり、密入国斡旋業者に頼ってアフガンやシリアから徒歩でヨーロッパに向かった難民が引き起こしたものではない。それでも、最も過酷な扱いを受けているのはアフガンやシリアからの難民だ。
ヨーロッパが在留資格とビザを自動的に与えているウクライナ難民は、住居などの難民サービスに優先的にアクセスできる。その一方で、受け入れ施設は能力の限界に達しているところもあり、難民が過密状態の場所に押し込まれるケースも出ている。
オランダの裁判所は先日、政府に難民センターの改善を命じた。今年の夏、何百という人々が水や医療をまったくといっていほど利用できない状態で野宿を強いられたためだ。生後3カ月の女の子が死亡した状況をめぐっては、現在も捜査が続けられている。
ベルギーの首都でヨーロッパ連合(EU)が本部を構えるブリュッセルでは、3万1000戸分の住居スペースが埋まり、3500人の難民が路上生活者となっている。
タリバンに父と兄弟を殺され、アフガンから逃れてきたというバシャルマル・モハマディさんもその1人だ。ベルギー王宮からわずか1マイル(約1.6キロメートル)の場所で、アフガン人の10代の若者7人とコンクリートの階段の下で段ボールとあり合わせの敷物を分け合って暮らしている。
難民の間に存在する「2つの階級」
こうした格差を、ドイツのドレスデンにあるザクセン難民評議会で広報を務めるダーフィト・シュミットケさんのような活動家は、ウクライナ以外からの難民を不利な立場に置いて差別する「2層のシステム」と呼んで非難する。
「組織的な人種差別だ。難民には2つの階級が存在する」とシュミットケさん。
ドイツをはじめとするEU諸国の当局者は、ウクライナからの避難民が突然増加したため、自動的に難民認定して関連サービスをすぐに利用できるようにするしか選択肢はなかったと釈明する。ウクライナ以外からの難民は、こうしたサービスにアクセスするのに何カ月、何年と待たされることが多い。