発達障害の人に「がんばれ」言ってはいけないワケ 大切なのは「特性への理解」と仕組みづくり
他人にたいして失礼なことを悪気もなく言ったり、繰り返し約束を破ったり遅刻したり、すぐに泣いたり怒ったり……。こうした、ちょっとだけ“付き合うのが大変”な人たちの言動は、ずっと性格や人間性の問題だと考えられてきました。
しかし最近では、その中にかなりの割合で、脳にある特性を抱えている人がいると知られるようになってきています。そのひとつが、発達障害です。発達障害の特性を持つ人と、そうではない定型発達の人とでは、物事の受け止め方、感じ方がかなり異なると、精神科医の岩瀬利郎先生は言います。本人たちはどんな世界を見ているのか、どんな接し方をするべきなのか。大切なのは、仕組みづくり。岩瀬先生の著作『発達障害の人が見ている世界』より一部抜粋、再構成し、お届けします。
発達障害は病気ではなく「脳の特性」
発達障害の人は、今でも“ちょっと変わった人”“空気の読めない人”“だらしない”“能力が低い”などと簡単に決めつけられてしまうことが少なくありません。
しかし、発達障害とは、ひとことで言えば“脳機能の特性”。大人も子どもも、むしろ本人は一生懸命、頑張っていることが多いのです。
そこで大切なのは、「がんばれ」「大丈夫!」という言葉ではなく、本人が見て、感じている世界を理解すること。そして、特性に合わせて接し方を変えてみることです。
ミスが多い、忘れ物が多い、空気を読まずに発言してしまう……。
特性からくる失敗や不思議な言動を、フォローできるような仕組みを作ることが何よりも大切です。
ここでは、発達障害、とりわけADHDの人とASDの人に起こりがちな「なんで?」を解明し、適した接し方と仕組みづくりをお伝えします。もし、あなたの周りにこの事例に当てはまるような人がいれば、ぜひ、参考にしてみてください。そうすれば、あなたと本人が抱えている悩みごとが減り、ともに生きるのが少し楽になるはずです。
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