発達障害の人に「がんばれ」言ってはいけないワケ 大切なのは「特性への理解」と仕組みづくり

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もしあなたの周りに同じような特性を持つ人がいたら、一度真正面から論理的に、そして心を込めて話してみてはいかがでしょうか。

「正直で率直なことは、悪いことではない。でも世の中は、ときに真実を言わないことで、相手が不快な気持ちになるのを防いでいる。もし、言ってもよいかどうか判断がつかないときは、発言を控えるのもひとつの手だよ」と。

特性の程度にもよりますが、ASDの人は論理的であることを重視するため、理解してくれることもあるはずです。

なんで約束を守れないの?

ADHDのTさん(30歳・女性)は、大事な資料作りや得意先への訪問、会議などの約束を忘れてしまうことが重なり、ついに上司から叱責を受けたそうです。

発達障害の人は、大人も子どもも、“約束を守れない”という症状が非常によく見られます。これは、物事の優先順位をつけるのが苦手という特性と関係しているのかもしれません。

定型発達の人であれば「まずはこれが最優先で、次にこれを」と当たり前にできる判断が難しく、つい簡単な案件から手をつけているうちに、重要課題が抜け落ちてしまうことがあるのです。

すっぽかし厳禁の重要な約束や予定は、すべてスマートフォンに登録してもらいましょう。充実した機能を使いこなすことで、トラブルを減らすことができたという患者さんがたくさんいます。超重要な予定は色を変える、前日にリマインドするなどの仕組みをつくるのです。

特に大事な約束は、本人がスマートフォンに入力するのを確認するとともに「これは特に重要な約束だから」とメモを渡しておくのも有効です。本人だけではなかなか自覚できない約束の重要性が伝わるでしょう。

特性からくる忘れやすさを、意識だけで改善させるのは限界があります。

「全部忘れず、全部守る!」と無理せず、重要な約束を思い出す仕組みをつくることが大切です。

発達障害の人は、相手の言葉を字義通りに受け取ってしまう傾向があります。締め切りに間に合いそうもなかった仕事を、先輩に手伝ってもらったASDのKさん(26歳・女性)は、先輩から「今回は私もいろいろと勉強になったわ。仕事が遅い同僚のおかげね、ありがとう」と言われたそうです。するとKさんは、「本当ですか? よかったです」と返して、怒らせてしまったのだとか。

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