ママチャリ価格の上昇が止まらない理由

悔やまれる過去の無策と日本の特殊事情

だが、販売の現場は頭を悩ませている。価格高によって販売が伸び悩んでいるからだ。販売シェアトップのあさひでは、柔軟に価格転嫁を行いながらも、為替予約によるヘッジや、自ら商品企画を行うSPA(製造小売業)という強みを生かしたモデルチェンジ、部品の組み替えで仕入れ値の抑制に努めている。人件費高がコストに直結しないよう、生産委託先に対して、「生産性向上に役立つ情報提供にも力を入れている」(経営企画)という。

東南アジアでの代替生産は非現実的

こうした企業努力や販売競争が、店頭価格の値上がりを緩和している面がある。とはいえ、輸入単価は今後も上がり続けるおそれがある。

では、東南アジアが中国の代替生産地になるといった選択肢はないのか。業界関係者からは「現実的ではない」との声が上がる。ママチャリのような中低級品では世界の自転車生産は中国に集中している。中国では「あらゆる種類、価格の部品が必要なだけ手に入る」(駒形教授)。より人件費の安い国に工場を作ったとしても、中国の部品を使わざるをえない以上、物流費などを考えればペイしないというわけだ。

いずれにしても、供給者と消費者が痛みを分かち合いながら、今後も中国と付き合っていくほかにすべはなさそうだ。国内生産の空洞化が行き着いた姿がここにある。

(「週刊東洋経済」2015年3月21日号<16日発売>「価格を読む」を転載)

 

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