バフェット明言!「エリートが仕掛ける」階級闘争 大都市ハブの上流階級vs.ハートランド労働者

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たとえば、環境政策。ハブ都市に集住する上流階級エリートの快適な暮らしは、ハートランドにある物理的な生産施設とそこで働く労働者階級に大きく依存する。しかし今日深刻の度を増す気候変動に対処するための政策を練り上げているのは、ハブ都市に住むグローバリズム志向のエリートだ。ところが、彼らが進める環境保護政策の犠牲を払わせられるのは、多くがハートランドで働き生計を立てている労働者階級だ。

2018年冬からの「黄色いベスト」の暴動がその典型であろう。フランスのエマニュエル・マクロン大統領が地球温暖化対策への積極的姿勢を国内外に誇示するために打ち出したディーゼル燃料税の引き上げは、日頃から自動車やトラックを頻繁に利用するハートランドの労働者階級や農村住民からの猛烈な抗議に遭い、撤回を余儀なくされた。

『新しい階級闘争』の原著は、2020年1月21日に出版されたポートフォリオ社(ペンギンブックスの出版部門)版では、「管理者エリートから民主主義を守る(Saving Democracy from the Managerial Elite)」という副題がついている。

一方、同年2月20日(ペーパーバック版は翌年5月6日)に出版されたアトランティック・ブックス版の副題は、「大都市エリートから民主主義を守る(Saving Democracy from the Metropolitan Elite)」となっている。邦訳では、階級間の分断・対立が地理的な相違から浮き彫りになることを強調した後者を採用した。

闘争を仕掛けているのは富裕階級の側だ

今日の階級闘争は、現象的には下からの反乱に見えながら、実のところは上流階級のエリートの側が仕掛けている。大富豪ウォーレン・バフェットの「闘争を仕掛けているのは私の階級、富裕階級の側だ」ということばは、露骨な言い方だが正しい。

歴史的に見ると、欧米諸国では、第二次世界大戦後の数十年間、政治・経済・文化の領域において、労働者階級に権力を付与する民主的多元主義のシステムが成立していた。ところが、その民主的多元主義は1970年代あたりから「上からの革命」によって崩れ始める。

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