バフェット明言!「エリートが仕掛ける」階級闘争 大都市ハブの上流階級vs.ハートランド労働者
21世紀に入ると、その崩壊は決定的なものとなる。クリストファー・ラッシュのいう「エリートの反逆」が起こったのだ。民主的多元主義に取って代わったのは、テクノクラート新自由主義だ。
テクノクラート新自由主義は、欧米の政府、大企業、大学、財団、メディアを同時に支配する高学歴上流階級の管理者(経営者)からなる「新しい正統派」となった。彼らのエリート主義・テクノクラート支配への指向は、経済・政治・文化(教育・宗教など)のあらゆる面で市民・労働者階級を弱体化させる戦略をとった。
リンドはその衝撃を9.11テロになぞらえてこう表現している。「学歴の高い上流階級の改革者が主導し、要員をそろえ、資金を供給して、超高層ビルをまるごと破壊しようとした同時多発キャンペーンは、結果的にアメリカや西ヨーロッパの民主主義諸国における1945年以降の階級横断的和解の構造全体を吹き飛ばしてしまった。ビルの大崩落で巻き上がった土煙が晴れると、労働者階級の人びとが人数の多さを背景に発言力を持っていた主要な機関――大衆参加型政党、議会、労働組合、草の根の宗教団体や市民団体――は、弱体化するか壊滅してしまい、欧米諸国の非エリート層のほとんどは、怒りをわめき散らす以外に公の場でいっさい発言することができなくなったのである」と。
カナダにおける「新しい階級闘争」
テクノクラート新自由主義の政策は、長期にわたって社会の根幹をやせ細らせていった。そこに降って湧いた新型コロナパンデミックは、政府の対応をめぐる上流階級のエリートと労働者階級との分断をひときわ鮮明なものとした。
今年1月末から2月にかけてカナダで続いたトラック運転手らによる「フリーダムコンボイ(自由のための車両隊列)」は、まさに新型コロナウイルスワクチンの接種義務化に対する抗議デモとして起こった。カナダとアメリカを結ぶ橋はトラックの隊列で封鎖され、主要な物流ルートが阻害される事態となった。
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