バフェット明言!「エリートが仕掛ける」階級闘争 大都市ハブの上流階級vs.ハートランド労働者

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「冷戦(cold war)のあとにやってきたのは階級闘争(class war)であった」と述べるリンドは、「階級闘争」あるいは階級間の対立をいったいどのようなものと捉えているのだろうか?

リンドが同書を執筆していた当時、直近の主要なトピックは、イギリスのブレグジット投票であり、アメリカのトランプ当選であり、フランスの黄色いベスト運動であった。欧米民主主義諸国で起こったこれらの出来事の背景には何があるのか?

「大都市で働く高学歴の管理者(経営者)や専門技術者からなる上流階級」と「昔からその国で働いてきた人びとと新しくやってきた移民とに分裂した大多数の労働者階級」との階級の二極化をリンドは指摘する。

かつて労働者階級の市民の利益は、労働組合なり、宗教団体なり、地域政党なりが守り、代弁する役割を果たしていた。しかし、いまやそれらの組織は力を失い、管理者(経営者)エリートと彼らが支配する非民主的機関への権力の集中が進んだ。具体的には、官僚組織、司法機関、企業、メディア、大学、非営利組織などだ。

社会的に周縁化された労働者階級(=アウトサイダー)からすれば、トラス前首相も、スナク現首相も、そして元公訴局(日本の検察庁)長官で現労働党党首のサー・キア・スターマーも、上流階級のエリート層(=インサイダー)であることに変わりはない。

事が深刻なのは、過去四半世紀、上流階級の地位に居続けてきたのが、グローバリズムに与し、テクノクラート新自由主義を体現する人びとであったということだ。

「ヴァーチャルズ」対「フィジカルズ」

前出のアンヘードの論評は、ある政治アナリスト(ペンネームN.S. Lyons)が提示する「ヴァーチャルズ」対「フィジカルズ」の階級・文化戦争という枠組みに依拠している。

ヴァーチャルズは「デジタルと抽象」の領域で職業生活を営む人びとのことを指す。具体的には、金融、学問、教育、メディア、テクノロジーなど、物理的な世界とは別の抽象的なレイヤーで仕事をするエリート層だ。

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