VAIOスマホは、本当に"ガッカリ端末"なのか 日本通信とVAIOの目指す事業モデルとは?

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次にVAIOがVAIO Phoneの開発にどのように関わったのかを尋ねた。VAIO PhoneはVAIOではなく、日本通信が生産・販売する製品と聞いたからだ。すなわち、日本通信が在庫リスクを負い、販売する、日本通信の製品ということになる。「今回、VAIOはVAIO Phoneの生産には関わらない。しかし、VAIOの協力がなければ今回の製品は開発できなかった。EMSベンダーと付き合いながら、自社製品として仕上げていくための人脈やノウハウは日本通信にはない」(福田氏)。

一方、VAIOには、そうしたノウハウがある。花里氏は「VAIO側で海外の生産パートナーとの協業に慣れている上、マーケティングもわかる人材がいた。日本通信とこの話が始まったのは8月の終わり。実際にプロジェクトが立ち上がったのは10月下旬。今は3月ですから、実質的には半年に満たない期間で製品を仕上げることができた。しかし、一方でVAIOはパソコンの販売しか経験がない。スマートフォンを作っても流通させる手段がない。この協業について議論を始めた頃から、VAIOがデザインやEMSとのやり取りなどを担当し、実際の販売は日本通信が行うという流れがあった」と話す。

これは顧客サポートなども同じで、VAIOのコールセンターではスマートフォンのサポートを行えない。そこで、VAIO Phoneのコールセンターは日本通信側が担当している。

パナソニックのELUGA U2とソックリ?

一方、VAIO Phoneの発表直後から、発表済みだったパナソニックのELUGA U2(海外向けスマートフォンで近く台湾で出荷が始まる)と外観が同じであることが指摘されていた。カラーリング以外には違いがないように見える。

価格差などはさまざまな面で国が違うとフェアな比較が難しいため言及しないが、見た目に同じだとするならば、VAIOが協力したというデザインはどのような部分なのだろうか。

「生産パートナーとは何度も試作をやりとりし、こちらからのリクエストに対して製品がシェイプされていった経緯がある。短期間で仕上げを改善するため、ベースとなるリファレンスモデルはあったが、そこから改善を繰り返している。その過程で手で持った時の持ちやすさ、ガラスで覆われていない部分の触感など、様々な面で質感の向上があった」と福田氏は説明する。

花里氏は「ELUGAを実際に手にしていないため、単に形状が同じなだけなのか、まったく同じものなのかは判別できない。ただ、我々としてはパートナーに対してデザインや質感の面でさまざまな要求をしながら、製品としての質を高めていった」と答えた。

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