キンプリ3人退所、事務所と彼らの埋められない溝 いま、ジャニーズになにが起こっているのか?

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「新しい地図」には、集団のありかたとしてSMAP的なところがある。「新しい地図」は一般的なグループとは異なり、やはり自立した個人の集合体という側面が強い。個人それぞれの活動を尊重しつつ、エンターテインメントという大きな目的を共有する緩やかなユニット(共同体)という印象だ。

ともに個人の比重が高いグループとして共通点のあるSMAPとKing & Princeだが、両者のあいだには違いもある。

SMAPは、ブレークするのに時間のかかったグループだ。1991年のデビュー当初、CDが期待するほど売れず、オリコンチャートで1位を獲得するのにも数年かかった。

それは個々のメンバーにおいても当てはまる。例えば草彅剛などは、ブレークしたのはSMAPのなかでも比較的遅い。

グループがデビューした6年後のドラマ『いいひと。』(フジテレビ系、1997年放送)でブレーク。その後、2003年の映画『黄泉がえり』とドラマ『僕の生きる道』(フジテレビ系)で俳優としての地位が確立された。そこに苦労もあっただろうが、そうしてメンバーの個性が熟成されたことで、SMAPというグループはいっそう揺るぎない確固としたものとなった。

CDデビューからまだ5年目のKing & Princeのグループ、そして個々の顕著な活躍ぶりは、同じ時点の比較ではSMAPに勝っているとさえ言えるかもしれない。だがそこには反面、急いでいるという感もなくはない。早く次のステージへ、という気持ちがあったことは、脱退を決めたメンバーのコメントからも感じられた。

ただしそこには、いまのジャニーズ全体を取り巻く状況がそう思わせている面もあるだろう。そこで出てくるキーワードが「海外」である。

King & Princeとジャニーズにとっての「海外」

今回、岸優太、平野紫耀、神宮寺勇太の3人の口から脱退の理由として語られたのが、”海外進出”という目標が達成できそうにない、という趣旨のことだった。

すでにさまざまなところでも言われているが、ジャニーズ事務所、より正確には事務所創設者であるジャニー喜多川の念願となっていたのが、世界に通用するエンターテインメントをつくることである。

そのひとつのかたちはアメリカに負けないオリジナルミュージカルをつくり、それを海外でも認めてもらうことだった。それは、つい先日ジャニーズ事務所を退社した滝沢秀明による『滝沢歌舞伎』の海外公演などによって少しずつ実現されつつあった。

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