この多忙さからもわかるように、King & Princeの活動は今年に入って順風満帆に見えた。グループとしては曲のリリースはもちろん、初の4大ドームツアーを実現した。また個人でも、ドラマや映画の主演作がメンバーそれぞれにあった。初の冠バラエティ番組『King & Princeる。』(日本テレビ系)がレギュラー化されたのも今年だ。
しかもKing & Princeは、ジャニーズのなかでも若手のグループである。CDデビューからまだ約4年半。それで言うと新しいほうから4番目のグループになる。
もちろん、若手グループであってもメンバーの脱退がないわけではない。当のKing & Princeも6人で出発し、岩橋玄樹の脱退、退所という出来事があった。ただそういう場合、学業や健康上の理由、あるいは不祥事など個人的な理由での脱退が多い。
それに対し、今回の場合は、理由としてグループの方向性をめぐる考えかたの違いが比較的ストレートに表れているところが目を引く。それがもうひとつ、いままでの脱退、退所の発表にない印象を与える。
そしてそこには、King & Princeというグループの特徴、さらに彼らがジャニーズにおいて担うはずだったものが見えてくる。以下、その2つの点から今回の発表が持つ意味を考えてみたい。
個人と集団、どちらに比重を置くか
いまのアイドルグループには、個人と集団のどちらに比重を置くかということがつねにつきまとう。両方のバランスがそのグループなりにうまく取れていたとしても、メンバーそれぞれ個性も異なる。したがって、個人の比重が高く感じられるグループと集団の比重が高く感じられるグループに自ずと分かれることになる。
ジャニーズグループも例外ではない。それぞれのグループに特色があり、単純には分けられないとしても、やはり比重の違いはある。
例えば、集団の比重が高いグループの代表として嵐が挙げられるかもしれない。むろんソロ活動も活発であり、それぞれの得意分野を生かしてドラマや映画、バラエティ、報道、芸術などでの特筆すべき活躍があった。だが嵐は、グループになったときの特別な一体感が大きな魅力として感じられた。
現在活動休止中の嵐だが、その選択もグループという枠組みを残すことへのこだわりがうかがえる。ある意味、いまは個人活動に集中するというメンバー間のコンセンサスがあるようにさえ見える。そのことが、ある種の安心感にもつながっているだろう。
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