年功序列を見直す日本企業が陥る最大の悪手 ジョブ型への安易な転換は若年層の失業を招く
働き方改革・雇用流動化・コロナ禍などを受けて、いま日本企業の人事制度が大きく変わっています。こうした中、かつて日本的経営の”三種の神器“と言われた終身雇用・年功序列・企業別組合のうち、昭和の時代からあまり変わっていないのが年功序列です。
今日でも多くの日本企業が、「入社5年目で主任、10年目で係長、15年目で課長」といった年齢・勤続年数をベースにした人事管理をしています。また、いったん従業員を昇格させたら、(役職定年を除いて)不祥事を起こさない限り降格処分にはしません。
年功序列では、能力がない中高年が要職に就き、能力のある若手が活躍できません。人材を有効活用したい企業にとっても、充実した仕事をしたい若手にとっても理不尽な仕組みですし、中高年の人件費負担や若手の離職といった問題を生んでいます。
どうして、年功序列を止められないのでしょうか。今後どう対応するべきなのでしょうか。日本企業の致命的な欠陥である年功序列について考えてみましょう。
戦後、年功序列が広まった
そもそも、日本ではいつ頃から、なぜ年功序列が始まったのでしょうか。年功序列が日本企業に広まり、定着したのは、戦後のことです。
戦前、日本企業では日給制が主流で、労働者は短期間で転職を繰り返していました。企業は、さっさと辞める労働者に教育訓練をすることを手控えたので、多くの労働者が未熟練のままでした。
戦後、アメリカの経営学を学んだ経営者は、労働者を長期雇用し、熟練を高めることが大切だと考えました。労働市場に熟練労働者が少ない状況で、新卒者など未熟練の若年層を採用し、社内で教育訓練し、長期間かけて熟練労働者を育成することにしました。
ここで賃金と担当職務は、年齢・勤続年数をベースにしました。年功序列です。年功序列なら、労働者は長く同じ会社に勤めようとするからです。また、当時は若年層が多い年齢構成だったので、会社全体の人件費負担が軽くなるというメリットもありました。
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