構造要因による赤字拡大分は?
2022年4~9月の貿易収支は、約11兆円の赤字となり、年度半期ベースで過去最大となった。下期もこのペースが続けば、年間貿易赤字は20兆円を超える。
これは、短期的な変化にすぎないのか? それとも長期的に継続するものなのか? それを判断するには、貿易収支がなぜ悪化したのかを分析する必要がある。
貿易赤字を拡大させたのは、次の3つの要因だ。
1.資源価格の高騰
2.円安(円安は輸入と輸出を同率だけ増加させるが、貿易収支が赤字だと、輸入の増加額のほうが大きくなるので、円安が赤字を拡大する)
3.日本経済の構造変化
1、2はよく指摘される。以下では、3が重要な意味を持っていることを指摘したい。
1、2は、いずれ収まる可能性があるが、3が大きな原因であるとすると、赤字は今後も継続する可能性がある。
3の影響を知るには、1、2の影響を取り除く必要がある。そのために、ここでは、次の方法を用いる。
2の影響を除去するため、輸出、輸入、貿易収支をドル建てで見る。
そして、1の影響を除去するため、鉱物性燃料を除いた収支を考える(穀物価格の高騰も赤字拡大要因だが、額が少ないので、ここでは別途扱いをしない)。
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