新幹線客も使いやすい「100円」遊覧バスの利便性 観光地をワンコインでつなぐ・洋野から八戸編

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種差海岸駅前の「ワンコインバス・うみねこ号」
JR八戸線・種差海岸駅前に停まる八戸市営バスの「ワンコインバスうみねこ号」(筆者撮影)
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九戸郡洋野町は岩手県沿岸部の最北端にある。久慈市の経済圏だが、広域的には青森県八戸市とのつながりが深い。町内を走る車も岩手ナンバーばかりではなく、八戸ナンバーも目立つ。JR八戸線の列車は、陸中夏井を発車すると峠に差し掛かり、駅名とは違って山間部にある侍浜駅を過ぎ、市町境を越える。そこから北は、比較的平坦な道のりだ。

鉄道は巨大防潮堤の外側

9月8日木曜日、久慈13時03分発の八戸行きに乗った。13時27分に着いた陸中中野からが洋野町域。駅前には町営バス中野線が待っている。町が公開している時刻表では13時23分発になっており、接続しないと思っていたが、さすがに要望が強かったのか手直しされていた。買い物帰りの客が何人か乗り継ぐ。

八戸線の陸中八木駅
海岸に近い八戸線の陸中八木駅(筆者撮影)

町内は、概ね八戸線がいちばん海岸線に近いところを通る。陸中中野を出ると防風林越しに海が見えはじめ、有家―陸中八木―宿戸間では波打ち際に近いところを快走。風光明媚な区間だ。ただ、一部ながら町営バスのほうが海沿いとなる区間がある。中野線だと玉川から種市にかけてである。

陸中八木駅付近
大規模な防潮堤で区切られた陸中八木付近の八戸線(筆者撮影)

東日本大震災では、洋野町にも10mを超える津波が押し寄せた。しかし防潮堤によって大きく減衰され避難も迅速に行われたため、犠牲者を出さずに済んでいる。もっとも大きな被害を受けたのが、漁港がすぐ近くにある陸中八木駅付近。震災後、集落と海との間に高い防潮堤が築かれた。しかし、鉄道は防潮堤の外になった。次に津波に襲われれば、ひとたまりもない。敷地の問題もあろうし、やむを得ないと割り切られたのであろうか。

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