アウディ「地熱発電の八幡平」でツアー実施の訳 地熱発電の厳しい現実とBEVシフトの相関性
こうした課題を重く受け止めている佐々木市長は、将来に向けて「(以前から)地域新電力構想を掲げている」としたうえで、昨今は全国の新電力事業が苦難の時期であることも踏まえて「時期をみて検討したい」という現実な視点での見解を述べた。
BEVの未来をアウディはどう見ているか
八幡平市役所内で実施された「未来共創ミーティング」では、佐々木市長、東北大学の鈴木准教授、フォルクスワーゲングループジャパン代表取締役社長兼アウディジャパンブランドディレクターのマティアス・シェーパース氏、そして鈴木准教授とともに地熱に関する研究をしている東北大学の学生4人を交えて意見交換を行い、さらにメディア関係者との質疑応答も行った。
その中で、東北大学の学生からは、「2026年に全世界で発表するモデルをすべてBEVにする」というアウディの事業方針に対して「日系メーカーの多くはBEVに対して違った考え方を示しているが、これはどう捉えればよいのか」といった質問や、自動車の持続可能性を考えるうえで必要な、原料から廃棄されるまでのLCA(ライフサイクルアセスメント)についてなど、エネルギーに関する議論を日頃からしている学生らしい鋭い質問が次々に飛んだ。
これに対してシェーパース氏は、丁寧かつデータに基づいた回答をしつつも、現時点で予測がつかないことについては、「各方面とのさらなる話し合いが必要だ」という姿勢を示した。
つまり、アウディが独自に打ち出した事業方針によらず、国や地域によってエネルギー事情、社会情勢、そして行政の自動車の電動化方針などには大きな差があり、現時点で自動車産業全体としてBEVの未来に対する答えがまだ出ていないことを、この場に集まった人たちに明確に伝えようとしたのだ。
アウディジャパンは、今回のツアー実施の意図を次のように明記している。
「アウディが独自に加速させる変革、そしてサスティナブルな社会の実現の重要性について、皆様と話し合える場を設けさせていただきます」
今回のツアーに参加して、改めて自動車分野に限らず持続可能な社会を創るのはとても難しいということ、そして、人と人との対話を介することでしか、未来に向けた「現実解」は見いだせないということを強く感じた。
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