AppleWatchの質感、実は高級機械式を凌駕 著名時計ジャーナリストが大絶賛

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それでも疑問は残る。各種の通知を腕時計に送り込むにしても、それに対する応答をApple Watchを通して行う必然性はあるのだろうか。あるいは腕時計からiPhoneのアプリをリモートコントローラのように扱えることが、どこまで重要なのだろうか。

カジュアルなバンドを選択することも可能だ

スマートウォッチの機能は、スマートフォンで動いているアプリの動作結果について通知を受ける機能、通知内容を確認する機能、スマートフォンアプリのリモートコントロール機能だ。脈拍などを把握するセンサー機能もあるが、あくまでスマートフォンとの連携が重要なポイント製品であり、それ単体で機能するものではない。

しかし、あるいは多くのスマートフォン向けアプリ開発者を抱え、7億台の端末を販売したアップルならば、時計の電子化を実現できるかもしれない。そんな期待はあり、あるいは腕時計型がスマートフォンにとってベストパートナーとなる可能性も否定はしないが、まだしばらく準備・助走期間が必要そう、というのが現時点での偽らざる感想だ(あるいはこの後、日常生活でテストしてみたときに気が変わるかも知れないが)。

広田氏も、何度も指摘されているバッテリー駆動時間の問題を指摘している。スペック上、18時間とされるバッテリ駆動時間だが、かなり頻繁に使用した場合の数値であり、実際には1日中使えると思って構わないそうだ。

とはいえ、それでも腕時計として考えると短い。

「純粋な時計好きは、専用の充電ケーブルで毎日充電する…という作法が、どの程度、利用者にとって負担かを正しく捉えていないかもしれません。購入後に、実際に使用を開始してから、はじめてバッテリー駆動時間の短さを実感する。そんな腕時計ファンも一定数いるでしょう」(広田氏)

果たしてアップルは、何らかの答えを用意できているのだろうか。

電子機器としての未成熟さが縮める”賞味期限”

それでもApple Watchには、もともと太く成長している”幹”、すなわちiPhone事業をさらに強化し、より太くすることで利益に貢献する可能性もあり、また成功のサイクルが始まれば事業単体としても大きく成長する可能性がある。

アップルのエコシステムが、アップル製品だけに閉じた環境であるにもかかわらず、顧客満足度は高く、エコシステム全体に対する不満が極めて少ないためだ。

そのように事業として育ったあとにも、アップルには今一度、腕時計というデバイスが、本当にスマートフォンと連動するデバイス形式として正しい道なのかを深く検証して欲しいと思う。いや、すでにApple Watchで行くと決めたのだから、スマートフォン市場におけるマーケットリーダーとしてApple Watchを責任もって改良して欲しいものだ。

将来、笑いながら「スマートフォンと繋がらなくても、時計が売れていた時代があったね」と語られる日が来るのかもしれない。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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