店や病院の「ごみ収集」知られざる過酷な現場 事業系産廃物の収集をしてみてわかったこと

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最後にもう一つ事業系廃棄物収集と家庭ごみ収集で異なる点を紹介する。産業廃棄物の処理を委託する際に発行する産業廃棄物管理票(マニフェスト)というものがある。

これは、不法投棄を未然に防止する施策として位置付けられ、産業廃棄物処理委託契約どおりに産業廃棄物が処理業者に引き渡され、委託内容に従って適正に処理されことを確認するための帳票類である。

紙のマニフェスト 
紙のマニフェスト。2種類存在し、左が直行用、右が積替用(筆者撮影)

マニフェストは産業廃棄物を処理業者に引き渡すと同時に交付され、複写の紙の送達により、排出事業者は運搬終了、中間処理業者による処分終了、最終処分業者の最終処分終了を把握することができるようになる。

マニフェストは電子化されており、排出事業者、収集運搬業者、処分業者が共に情報センターを介したネットワークでやり取りする仕組みも構築されている。電子マニフェストの導入率は全体の約70%であり、電子化が進むものの、紙ベースのマニフェストのやり取りが残っている。

街の衛生的な環境を維持している裏方

今回、筆者が見学させて頂いた現場には、原宿・表参道周辺と自由が丘駅周辺の商店街の収集があった。深夜から早朝にかけて店舗前に排出される事業系廃棄物を収集して回るのである。私たちが寝ている間に事業系廃棄物が収集され、商店街からごみが一掃されていく。日の出前には作業が完了し、また新たな街の1日が始まっていく。

私たちが繁華街に行った時にごみが散乱しているのを見ないのは、事業系廃棄物を収集し衛生的な環境を維持するために尽力するスタッフが存在しているからである。街を走り去る事業系廃棄物の収集車を見た時には、自治体の家庭ごみ収集車と同様に、運転手にそっとエールを送っていただきたい。

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藤井 誠一郎 立教大学コミュニティ福祉学部准教授

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ふじい せいいちろう / Seiichiro Fujii

1970年生まれ。同志社大学大学院総合政策科学研究科博士後期課程修了。博士(政策科学)。同志社大学総合政策科学研究科嘱託講師、大東文化大学法学部准教授などを経て現職。専門は地方自治、行政学、行政苦情救済。

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