店や病院の「ごみ収集」知られざる過酷な現場 事業系産廃物の収集をしてみてわかったこと

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事業系一廃の収集では、飲食店からは生ごみが多く排出されるため、それらはかなり重く、汁が滴り落ちている場合もある。店舗の隅や傍らに設置されたヤードからそれらが入った複数のごみを引っ張り出して清掃車に積んでいく作業は、かなりの重労働となる。量が多ければ何往復もするようになる。

ごみ収集する様子
店舗横の通路に排出されたごみを収集する様子。数回清掃車と往復する(左)。病院のバックヤードに積まれた入院患者のオムツ。中では鼻を衝く臭いがしている(右) (筆者撮影)

また、病院や介護施設のバックヤードには、大量のおむつが排出されており、それを1人で積み込むのもかなりの重労働になる。これらの収集のための清掃車への乗り降りも相当数になり体力を消耗する。コースにもよるが、100回近くも乗り降りすると足腰にかなりの負担となるのは言うまでもない。

深夜の収集時には近所迷惑にならぬよう配慮

ごみの運び入れをするだけの誰にでもできる“簡単な仕事”と思われがちだが、そんなことは決してない。事業系廃棄物の収集業務を行うためには、当然ながら地図を頭に入れ、収集する顧客先までの最短ルートを見出しておく必要がある。

さらには、顧客先ごとの要望に応える必要もある。例えば時間指定されている場合は、その時間に到着するように業務を組み立て効率よく収集していく。後ほど詳しく解説するマニフェストの対面受け渡しの要望には、顧客の営業時間に事務所を訪問して書類を手渡す。

深夜の収集時には近所迷惑にならぬよう、投入したごみを巻いてはいけない(タンクに押し込むように機械を作動させてはいけない)場所を覚えておかなければならないなど、仕事を進めていくための多くの情報をあらかじめインプットしておく必要がある。

このように、膨大な収集作業のための情報や顧客情報が必要となるため、独り立ちするまでには、かなりの育成期間がかかる。

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