「発熱外来受診」を呼び掛ける政府方針への疑問 コロナやインフルだけが発熱する病気ではない

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また、特に4歳以下の子どもで、発熱や咳などインフルエンザ様の症状を認めて受診する外来患者が増加傾向にあることから、CDCは過去2年間にインフルエンザがほとんど報告されなかった米国において、「今年の冬は厳しいインフルエンザシーズンになる可能性がある」と警告しているのです。 

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師(写真:AERA dot.編集部)

10月11日、入国者数の上限の撤廃、個人の外国人旅行客の入国解禁など、厳しかった水際対策が大幅に緩和されました。3回の新型コロナワクチン接種を終えたことを示す証明書か、滞在先の出発前72時間以内に受けた検査の陰性証明の提示を求める措置は今後も継続されるものの、遅ればせながら、日本も鎖国状態ではなくなったと言えそうです。

コロナとインフル、同時流行の懸念

このような新型コロナウイルス感染症に関連した規制の緩和や解除、南半球のオーストラリアにおけるインフルエンザの流行、近年のインフルエンザの流行がないことによる免疫力の低下から、今年の冬の新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行が生じるのではないかと、英国の国民保健サービス(NHS)やCDCは警告しています。今年の冬のインフルエンザの流行において、免疫の低い高齢者や乳幼児が最も危険にさらされている可能性があると、懸念されているのです。

私の勤務先のクリニックでは、今年の冬に生じるであろうコロナとインフルの同時流行を想定し、一度でこれらの疾患かどうか判断することができる抗原検査キットを採用しています。第7波が終息した今でも、年齢を問わず、発熱や咳、咽頭痛など、コロナを疑う症状を主訴に受診する方は、人数は減ったものの絶えることはありません。

10月12日、政府は、コロナとインフルの同時流行を懸念し、高齢者や小学生以下の子ども、基礎疾患のある方などに限定して発熱外来への受診を呼びかける方針を固めたことが報じられました。「はたして、発熱外来の受診者の年齢を限定する必要があるのか」と私は疑問に感じざるを得ません。

次ページ発熱が理由でクリニックを受診させてもらえず、実は…
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事