「発熱外来受診」を呼び掛ける政府方針への疑問 コロナやインフルだけが発熱する病気ではない

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政府は、基礎疾患がなければ検査キットで自主検査をして新型コロナウイルス感染症かどうかを確認し、コロナが陰性でインフルエンザやほかの病気を疑って医師の診療を希望する場合は、発熱外来ではない一般医療機関をオンラインや電話で受診するように呼びかけ、一般医療機関には対面診療も含め、コロナ陰性の患者をできるだけ診るように協力を求める方針だといいます。しかしながら、発熱を認めるからといって、インフルエンザかコロナのどちらかであるとは限りません。 

発熱でクリニックを受診させてもらえず…

少し前ですが、発熱しているからという理由でなかなかクリニックを受診させてもらえず、やっとのことで受診した発熱外来ではコロナ検査のみされて、翌日陰性であったことが発覚。発熱や倦怠感などが改善しないからと、たまたま見つけたからと私の勤務先のクリニックを受診され、結果的に「腎盂腎炎」だったということがありました。

喉の痛みと発熱を主訴に受診され、検査した結果「溶連菌性咽頭炎」であることがわかったケースもあれば、味覚の異常を自覚し受診した結果、「亜鉛欠乏症」であったケースもありました。

コロナパンデミックが生じてから、「発熱しているからという理由で、かかりつけ医では診てもらえず、発熱外来に行ってくださいと言われた……」と(私の勤務するクリニックを)受診したという患者さんに、何度もお会いしています。コロナ流行前はそんなことなかったはずです。

コロナとインフルの同時流行の可能性が警告されているからといって、医療機関を受診する患者さんを限定する必要があるのでしょうか。コロナと共存する段階である以上、これ以上、政府がコロナ対策について講じる必要があるのか、考え直すときにきていると私は感じます。

(筆者:山本佳奈) 

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書) 
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