東田:私たちのブレーンとして、ネットで流行った話題に強い方がいました。その方から、「『意識高い系』をテーマにしたドラマをやりたい」というお話をまずいただきました。最初に聞いたときは、「意識高い系」という言葉にみんな釘づけでしたね。あまりにもインパクトがあったので(笑)。それがNHKさんの目にも留まり、制作が決まったという流れですね。
河原:常見さんから受けた「意識高い系レクチャー」もその取材のひとつです。かなり参考になりました。
テーマは人が人を育てること
東田:ポイントは、あえて「意識高い系」の若者を主人公に置かなかったところですね。主人公は伊藤歩さん演じる入社11年目の中堅社員・坪倉春子さん。老舗会計ソフト販売会社の課長としてバリバリ働く彼女の下に、ある日、社長命令で一条ジョーという新入社員が配属されます。絵に描いたような意識高い系の彼に、上司の春子さんが翻弄されるというドタバタコメディですね。
河原:視聴者の方も、普通の会社員として働く春子さんの視点でドラマを楽しめますよ。ドラマを描くとなると、どうしても主人公の成長物語を描かなければいけないので、「意識高い系」代表の一条くんを主役にしようとは考えませんでしたね。
常見:なるほど。成長してしまったら、一条くんも「意識高い系」じゃなくなりますもんね。
河原:そうなんです。だから、まず彼は主人公にはなりません。
東田:世の中には一条くんみたいな人よりも、どちらかというとそんな彼に振り回される人のほうが多いわけです。振り回される人の代表として、春子さんを主人公にしました。
常見:一条くんはやたらと「フルコミット」や「ブレスト(ブレインストーミング)」といったカタカナ言葉を乱用したり、必要以上に人脈を自慢する姿が想像できますが、主人公の春子さんはどんなキャラクターなんですか?
河原:脚本を制作している時は、意識高い系に振り回される被害者的なイメージでしたけど、実際に伊藤歩さんに演じていただくと、自分や会社の将来のために戦う強い女性になりましたね。課長として社内で結果を残さないといけませんし、結婚についても考えるような年齢です。そんな彼女だからこそ抱える悩みや葛藤は描けていると思いますね。
常見:課長となると後輩の指導や育成にも目が向くと思いますが、「意識高い系」だけじゃなく、そういった「人材育成」「成長」についても、ドラマの中で扱っているわけですね。
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