過疎/高齢地の「次世代交通」5年で見えた現実解 エボリューション大使として感じる果実と課題

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こうした短距離移動を、一般的に「ラストワンマイル」「ファーストワンマイル」と言い、それに適合する移動手段として、超小型モビリティや電動くるまいすのシェアリングを含めた利活用の可能性など議論してきた。

だが、公共交通機関とラストワンマイル・ファーストワンマイルを組み合わせた移動方式は、都市部で有効なもので、地方部や中山間地域では、「自家用車の代替」として「相乗りになっても、自家用車に近い感覚」が求められている。

ラストワンマイルのため自動運転車両では電動車いすも載せられる(筆者撮影)

また、近助タクシー利用者からもよく聞かれるのが、ドライバーとの“ふれあい”だ。地方部でも核家族化が進み、近所づきあいも減る中で、地域交通を通じた“ふれあい”は地域存続の希望にもなるはずである。だたし、人によっては近所、または近隣地区の人と「一緒に同じクルマに乗りたくない」というケースもありうる。

そんな中、昨今は完全自動運転においても、“ふれあい”の観点から搭乗員の必要性が議論されている。バーチャルやメタバースの技術を活用した、アバターによるアテンダントの研究開発もグローバルで進んでいるところだ。たしかに、こうした技術によって、地域社会にとっての良きふれあいも実現可能かもしれないが、事業化とコストとのバランスからハードルは高い。

(2)コストと事業性を考える順序

地域交通のコストについて市町村が議論する際、議論の入り口として路線バスやコミュニティバス、タクシーの利用状況やドライバー不足から、規模縮小や運行廃止を取り上げることが少なくない。

事業者目線が優先され、地域住民には「理解を求める」という観点で意見交換をすることが多く、行政や事業者と地域住民側との「意見のすり合わせ」になりがちだ。

本来、事業者側は地域社会の現実に対して、より深く踏み込んで理解することが大切だ。こうした議論の中では、「現状とこれから」の具体的な指標を掲げたうえで、「コストと事業性」を持ち出すほうがいいだろう。

そうなれば、選択肢の1つとして「自動運転車の導入」があがってくるケースも出るはずだ。自動運転ありきの議論ではなく、さまざまな議論を重ねる中で「自動運転はどうだろうか」という声が住民側から自然と出てきてこそ、自動運転が根付くのだと考えられる。

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