過疎/高齢地の「次世代交通」5年で見えた現実解 エボリューション大使として感じる果実と課題
2021年度に入ると、自動運転の精度を上げた自動運転レベル4での無人運転走行の研究開発に移っている。今後もさらに実証を進め、国が2025年をめどに全国40カ所での実現を目指す産学官連携の研究開発・実証プロジェクト、「RoAD to the L4」の中心的な存在となる見込みだ。
一方で、2019年1月30日、永平寺町は「永平寺町MaaS会議」のキックオフを行った。地域交通のあるべき姿を地域住民、町内や福井周辺の交通事業者、中央官庁関係者、自動車メーカー関係者などがゼロベースで議論するための会議だ。
その成果物の1つが、2019年11月1日に試走をはじめ、
また、志比北・鳴鹿山鹿地区の近助タクシーでは、
トライ&エラーと厳しい現実
2019年の永平寺町MaaS会議立ち上げ時点では、移動の必要に応じてクルマを配車するオンデマンド交通の実現に向けて、高度なナビゲーション機能や住宅の各戸への音声認識装置の導入など、先進的なシステムに関して関係する企業などと意見交換を進めた。
また、自動運転車についても、走行エリアの拡大に加えて一部区域で手動走行を行うことでのサービス向上や、観光事業との連携など、さまざまな可能性を模索してきた。だが、それらの多くはコストや事業としての持続性の観点から実現できなかった。
2022年10月時点で自動運転車の運行は、全長6kmのうち永平寺に近い約2kmの区間で行われ、土日祝日の10~15時に、上りと下りそれぞれ1日13便を運行している。料金は大人100円、子ども50円。
この区間の利用者は観光客が主体であり、周辺には居住者が少ないため地域住民の利用は極めて少ないのが実状だ。平日に定時運行はなく、視察や教育活動などの予約が入った場合のみ運行している。
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