「夫の蓄えは心の余裕」成婚決めた41歳女性の後悔 「結婚したら生活費はいくらか」問題を考察する

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そんなあつおが、メーカーに勤めるはつこ(37歳、仮名)との結婚を決めた。はつこは実家暮らしだった。

「先日、はつこさんにプロポーズをしたら快諾いただいたので、今月をもって成婚退会したいと思います」

成婚退会の挨拶にやってきたあつおに、どんなプロポーズをしたのか聞いた。

「デートで、2人で住む家を何軒か見に行くようになって。先週末、値段も手頃な物件が見つかって、『今まで見たなかで一番良かったね』という話を帰りに寄ったカフェでしたんです。その流れで『年内には籍を入れようね』と言ったら、彼女が『それってプロポーズ?』と言うから、『そうだよ』と」

高層ビルから見える夜景も、豪華なフレンチのコース料理も、花束も、指輪も、何もないプロポーズだった。

「それで、彼女は納得したの? 改めてプロポーズはしないの?」と私が言うと、彼は言った。「そうなんですよ。それを彼女からも指摘されました。『一生に一度の事だから、ちゃんとプロポーズしてよ』って。それで、今月末にビルの最上階にあるレストランに予約を入れました」

結婚後の食費で揉めて

そんな話をして帰って行ったのだが、数日後にこんな連絡が来た。「退会したのに、すいません。ちょっとご相談をさせてください」。

そして、電話で話すことになったのだが、結婚後の食費のことで揉めたようだ。

「僕はこれまで、食費は月に4万円と決めていたんです。週末にスーパーに行って、1週間分の食材を7000円以内でまとめ買いする。そうすると4週で2万8000円。夜に多めに作って、それを弁当箱に詰めて、翌日会社に持っていく。で、残りの1万2000円は、調味料が切れたり、外食をしたりするときのお金にあててきたんですね」

この話をはつこにすると、「月に4万円の食費? 1日1000円ちょっとでやりくりしていたということ?」と、目を丸くして驚いたという。

「彼女は、会社に弁当を持って行くこともあったみたいだけど、それよりもコンビニで調達したり、近くの定食屋に同僚と食べに行くことのほうが多かった、と。帰りに同僚と外食をすれば、2000~3000円は散財する。ワインの美味しいレストランなどに行くと、5000~6000円は使っていたっていうんですね」

さらに、あつおは続けた。「僕は婚活を始めてから、デート費用は別途取っていたので、女性にお金を払わせるようなことはしませんでした。だけど、自分の食費はこれまで通り4万円で抑えてきたんです」

そして、ネットで“結婚世帯の平均の食費額”を検索した。

「そうしたら2人で6万円台後半だった。彼女にそれを伝えたら、『私、一人暮らしをしたことないけど、そんなに少ない金額でやりくりできるかな』って言うんですよ。なんだか行き先が不安です」

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