「夫の蓄えは心の余裕」成婚決めた41歳女性の後悔 「結婚したら生活費はいくらか」問題を考察する

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はつこの家は高級志向の店舗で食材を買うわけではないのだが、無添加や無農薬にこだわっていて、激安スーパーなどでは食品や調味料は買わないことがわかった。

私は、あつおに言った。「はつこさんも働いているのだから、家計にお金を入れるんでしょう? 2人でよく話し合って、食費にいくら使うかを決めていけばいいんじゃない?」

「そうですね。よく話し合ってみます」

1週間分の材料をスーパーに買い出しに行くときに、安売りをしている野菜や肉、魚などの食材を買うあつお。高級志向ではないものの、食材を買うときには、産地や添加物にこだわり、吟味して買うはつこ。

食費にいくら使うか、何を買うかといった点で価値観が違う2人が、これから結婚生活を送っていくには、どちらの価値観に歩み寄らないといけないだろう。その擦り合わせが、今後の2人の課題のようだ。

セレブ婚できると思ったら…

さとこ(37歳、仮名)が、よしたか(49歳、仮名)と結婚を前提にした真剣交際に入った。順調に成婚に向かうのかと思いきや、さとこから「相談があります」と連絡が入った。

面談室にやってきたさとこが言った。

「よしたかさん、プロフィールには年収1500万円って記載されているじゃないですか。あれって本当なのか、疑わしいです。結婚の具体的な話をするようになってからというもの、お金に対してすごい細かいことばかり言うんですよ」

結婚相談所の場合、男性は入会時に収入証明書の提出が義務づけられている。なので、よしたかは年収を偽っているわけではないだろう。

「どんなふうにお金に対して細かいの?」と聞くと、さとこは言った。

「私は年収が170万円程度、よしたかさんとは、収入が全然違うじゃないですか。それに私は派遣社員だし、今の仕事がいつまで続くかわからない。仕事がなくなっても夫の収入で生活していければと思って始めた婚活だったし、結婚したら、できればいったん仕事は辞めたかったんです」

そんな希望があったからこそ、さとこは年齢は離れていても年収の高い男性とばかり見合いをしてきた。そして、選んだのがよしたかだった。

「この前、結婚後のお金の話になったときに、『家賃は僕が払うから、お互いに5万円ずつ出し合って、10万円で家計を回していこう』と言われたんです。だから、『私は結婚したら、いったん今の仕事はやめて、家のことをやりたい』と言ったんですね」

すると、よしたかが言った。「僕は、君の稼ぎをあてにしているわけじゃないけど、仕事を辞めたら行動範囲が狭くなるし、人間関係も閉塞的になる。いくら稼ぐとかじゃなくていいから、仕事をして社会とつながっていたほうがいいよ」。

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