【内臓脂肪】専門外来の医師伝授、確実な撃退法 「3~6カ月で3%の体重減」で血圧、尿酸値も安定

✎ 1〜 ✎ 20 ✎ 21 ✎ 22 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

善玉アディポサイトカインの代表ともいえるのが、「アディポネクチン」というホルモンだ。「アディポネクチンはエネルギー代謝に大きく関わっている物質。血管を修復する作用や脂肪を燃焼する作用、インスリンの効き方をよくして糖尿病を予防したり、動脈硬化を予防したりする効果なども確認されています」と浅原さん。

ところが脂肪細胞が増えすぎると、アディポネクチンの分泌が抑制され、逆に体に悪さをする悪玉アディポサイトカインが分泌される。

「悪玉アディポサイトカインの代表的なものに、IL(インターロイキン)-6や、TNFαなどの炎症物質があります。これらが出てくると、体が慢性的な炎症状態に陥ります。炎症物質は血管の壁に傷を付け、血栓を作りやすくするので、動脈硬化も促進されます」(浅原さん)

新型コロナと内臓脂肪の関係

最近では、肥満が新型コロナウイルス感染症の重症化にかかわっていることもわかっている。欧米のデータでは肥満(BMI〈Body Mass Index〉25※以上)の重症化リスクは、BMIが25未満の人に比べ、1.8倍という結果が報告されている(出典:Hussain et al.Obes Res Clin Pract.2020)。※BMI(Body Mass Index):体重(kg)÷(身長m)の2乗

ところで、新型コロナウイルス感染症では、細胞からさまざまなサイトカインが分泌される「サイトカインストーム」と呼ばれる現象が知られている。重症化する人の体で起こっているとされる現象で、肥満の人はこのサイトカインストームが起こりやすい。その理由として、悪玉アディポサイトカインによる体の慢性炎症が関係していると推察されている。

聞けば聞くほど怖くなる内臓脂肪。しかし浅原さんは、「幸い内臓脂肪は皮下脂肪に比べ、運動で減りやすいことがわかっています。大事なのは、即、行動を開始すること。該当する人は今日から生活習慣を改善し、減量に取り組みましょう」と前向きだ。

内臓脂肪は会社や自治体で行われる「特定健診(メタボ健診)」でチェックできる。腹囲の測定をしてもらった際、へその高さの腹囲が男性 85cm、女性 90cmを超えていれば内臓脂肪が付いている可能性が高い。また、BMIで算出した体格指数が25以上の場合も肥満ととらえる。BMI35以上の場合は健康上の問題がとても大きく、すぐに治療が必要な高度肥満とされているため、早めに医師に相談したほうがいい。

内臓脂肪型肥満によって起こる健康被害には、2型糖尿病や脂質異常症など生活習慣病のほか、お酒を飲まなくても発症する脂肪肝「非アルコール性脂肪性肝疾患」、月経異常・不妊、睡眠時無呼吸症候群など多くの健康障害が知られている。非アルコール性脂肪性肝疾患は肝がんのリスク因子であり、まだ研究段階ではあるが、大腸がんになりやすいという報告もある。

内臓肥満によって起こりやすい健康被害は以下の通りだ。

肥満に関連する健康障害
次ページ内臓脂肪を減らす生活術
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事