「いい人材が集まらない」企業が行いがちな採用法 「逸材を揃えたければ人任せにしない」が鉄則

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こうした時代において、今後、企業が求める人材を採用するためのポイントは、「求人情報サイトや人材紹介サービスに頼る」という従来の手法から抜け出し、能動的な動きにシフトしていくことです。そのためには、企業は「求職者が求める幅広い情報」を主体的に発信し、さらに「自社が大切にしている価値観」を積極的に発信することで、求職者に腹落ちしてもらう必要があります。

それを実現するのが、「オウンドメディアリクルーティング」という手法です。

オウンドメディアリクルーティングとは、企業のオウンドメディアを活用したリクルーティング活動です。オウンドメディアリクルーティングにおける「オウンドメディア」とは、企業自らが所有し、情報発信する媒体のこと。主に自社のウェブサイト、ブログなどを指しますが、採用情報の発信媒体となるオウンドメディアは、採用サイトだけを指すのではなく、SNSや自社の社員、説明会などのイベントも含まれます。

オウンドメディアリクルーティングのメリットをまとめると、大きく4つが挙げられます。

◎メリット1:ジョブディスクリプションを精緻化することで、自社に適した人材獲得の可能性が高まる

ジョブディスクリプションとは、「仕事の役割」と「必要な能力」を言語化した「職務記述書」のことです。従来の求人広告では、「募集要項」という形で仕事内容や勤務時間、勤務地、給与などが書かれていましたが、ジョブディスクリプションは、自社が求める人材に即して、より詳しく情報を発信するものです。具体的には、職務内容、職務の目的・意義、目標、責任、権限の範囲、チーム・関係する部署、必要とされる技術・知識・パーソナリティ、資格・経験などから成り立ちます。

求人広告などの媒体は、スペースや記載する内容がフォーマット化されていることが多々あり、どうしても内容が同業他社と似てしまいます。その結果、求職者の判断基準が、会社のブランド力や給与・福利厚生などに偏ってしまいがちです。

十分な情報量で求人像を伝えられる

それに対してオウンドメディアリクルーティングは、スペースやフォーマットの制限がありません。ジョブディスクリプションを作成する際、より具体的かつ十分な情報量で自社が求める人物像を記載し、発信できます。結果として、その企業の理念やカルチャーに共感した求職者が応募してくるため、自社にフィットした人材を獲得できる可能性が高まるのです。

◎メリット2:自社の魅力を伝えることで、選職および入社後のミスマッチを減らせる

オウンドメディアリクルーティングでは、企業ごとに自由に情報発信でき、社員が実際に働く姿や職場の日常の様子を発信することで、会社の雰囲気や自社の魅力をよりわかりやすく伝えることが可能となります。また、募集する部署の社員やプロジェクトリーダーのインタビュー記事を載せたりすることで、求職者はより深く会社を知ることができます。

求職者があらかじめ「この求人ではどんな仕事をするのか」「この会社は自分に合っているか」を詳細に知り、その内容に共感して応募してくることが多いため、入社後のミスマッチを軽減させる効果があるといえます。

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